ビール4社カルテル疑惑「裏で合わせている感あった」 取引先も違和感
https://www.nikkei.com/paper/20261009M101/EA10000/article/DGXZQOUC075CQ0X01C26A0000000
【コメント】
ビールがカルテルで長らく価格が調整されてきたようです。
この価格調整は1980年代以降から続き、最近では2022、23、25、26年の価格改定でもカルテルがあったのではないかとの疑いがあります。ちなみに独禁法の公訴時効は5年ですので、公正取引委員会が違反行為を正式に提訴する可能性は高いと思われます。
オランダハイネケンや米バドワイザーなどの海外ブランドも日本国内の市場開拓を進めてきていましたが、シェア90%を占める日本企業4社(アサヒビール、キリンビール、サッポロビール、サントリー)のカルテル行為で市場参入が思うように進んでこなかった経緯があるようです。
これまでビールはシェア争いの影響により価格が低く抑え込まれ、消費者にはお得感があったようです。今後各社が原材料費やエネルギー価格、人件費などの上昇を売価に転換してくるようだと、企業努力の差はありますが、ビール価格は上昇しビール党には痛手になるかもしれません。
また近年では、アルコールを含むいわゆるビール類の販売数量は約40%減少しています。代わって健康志向 の高まりなどによりノンアルコールビールの伸びが急激です。ノンアルコールビールを飲んでも、なんとなく酔った気分になりませんか?(笑)
【記事概要】
ビール大手4社に価格カルテルの疑いが浮上した。公正取引委員会は7日、アサヒビール、キリンビール、サントリー、サッポロビールを独占禁止法違反(不当な取引制限)の疑いで強制調査した。各社の歪(ゆが)んだシェア争いが不正につながった可能性がある。
「これまでも各社の商品価格の上げ幅や下げ幅に大差はなく、改定の時期もほぼ一緒。裏で合わせている感はあった。違和感はあったが長年の慣習だとみていた」。卸売りの関係者はこう話す。
国内のビール類市場は長らく4社で9割超の寡占状態となっている。限られた市場を巡って各社は苛烈なシェア争いを繰り広げてきた。
ビールは使う原料や税率が酒税法で厳格に定められ、品質が画一的で価格差も生じにくい商品とされている。技術の進化で味や製法などは多様化したが「1缶あたりの原価の差はほぼなく、価格競争だけで優位に立つ余地は限られる」(業界関係者)のが実情だ。
競争の主戦場となるスーパーやコンビニエンスストア、飲食店はメーカーにとって自社の商品を置いてもらう立場だ。特に大手スーパーなどは価格交渉で強い主導権を握っているとされ、「安易に値上げもできない」(同関係者)。
価格競争での差異化が難しいなか、競争の主軸は棚や飲食店の樽(たる)生ビールで置いてもらうための販促費やリベートへと移った。金銭以外でも売り場の提案で、どの商品を目立つ場所に置くか、特売をどう展開するかのほか、飲食店では他社に切り替えられないように、開業支援や経営コンサルティングまで担う、独特な販売慣行が形成されていた。
一方で、こうした商慣習は外から見えにくく、他社の参入を妨げる一因にもなった。オランダハイネケンや米バドワイザーなど海外ブランドも国内市場の開拓に挑んできたが、大きな存在感を示すには至らなかった。業界関係者は「独特な商慣行に海外勢は対応するのが難しく、結果的に国内4社の寡占が進んだ」と話す。
寡占状態が続くなかで、競争相手は常に同じ顔ぶれだった。棚割りや販促費、特売企画、飲食店への営業攻勢を巡り4社では激しい競争を繰り広げてきた。ある業界OBは「競合が誰といつ会って何を話したか、一挙一動は営業戦略を左右する重要情報だった」と振り返る。
市場縮小で販売数量の伸びが見込みにくくなるなか、他社の動向への関心は一段と高まったとみられる。業界団体などを通じて各社社員が日常的に顔を合わせる機会もあり、情報交換が行われやすい環境があったとの見方もある。
今後、公取委から違反が認定されれば巨額の課徴金が課される可能性がある。市場規模が大きいだけに、その影響は小さくない。さらに痛手となりかねないのが消費者の信頼失墜だ。
スーパーの関係者は「政府からの価格転嫁の要請に乗じて、カルテルで値上げというのは納得できない。結果的に損を被るのは消費者」と憤りを隠さない。
10月、ビールにかかる酒税が引き下げられ、各社は大規模な広告宣伝費を投じてビールの販売促進に動き出したタイミングで浮上したカルテル疑惑。各社はテレビCMの放映などを続ける方針だが、盛り上がるはずの機運も一気に冷めかねない。
