円高×株高、海外資金呼ぶ 03年「小泉相場」と類似意識 日本株の上昇持続を示唆
https://www.nikkei.com/paper/article/?b=20250826&ng=DGKKZO90888280V20C25A8DTC000
https://www.nikkei.com/paper/article/?b=20250826&ng=DGKKZO90888280V20C25A8DTC000
【コメント】
- 毎日のように日経新聞は、今後の日本株上昇期待の記事を掲載しています。今朝の記事の結論は「日経平均は今年4万8,000円まであげる場面がある」です。
- 記事では、過去の小泉政権と現在が類似しているとコメントしています。類似点は、①半導体市場の盛り上がり ②長期金利の上昇 ③海外マネーの流入 などです。
- 株価上昇にはROE改善が必須で、それには株主還元、事業再編、成長投資の3つが不可欠です。
- 現在日本企業は株主還元を積極的に取り組んでいますので継続が期待されます。
- 事業再編もトヨタやNTTなどがグループ再編を積極化させていますが、この流れがグループを超えた再編になっていけば日本経済への更なる効果があると思わせます。
- ポイントは成長投資です。日本企業が競争優位性のある事業分野を明確化し、積極投資によりボリュームと収益性を改善していけるのかが海外を中心とした投資家の投資判断を引き上げられるかのポイントです。
- 日本企業は米国企業に比べると、上記三つが遅れていますが、裏を返せばまだまだ改善余地があるということが言えます。三つの改善要素を着実にこなしていけることが見えてくれば、記事にもあるような日経平均株価が達成できるのだと思います。(投資は自己責任で!)
【記事概要】
- 25日の日経平均株価は前週末比0.4%高の4万2807円と、米国の早期利下げ期待が高まった割には勢いを欠いた。小幅に円高が進んだことが短期では日本株の上値を抑えた。だが20年前の日本株大相場を振り返れば、円高・株高は海外勢のマネー流入を促し、息の長い株高が続くことを示唆する。
- 03年に何が起きたか。01年からの小泉純一郎政権の下で、03年5月にりそな銀行に公的資金を注入。バブル経済崩壊で金融機関が抱えた不良債権処理の転換点となった。日本経済が混迷を脱するとの期待から、日経平均は7600円を大底に急反発を始めた。
- 「郵政解散」に打って出た05年には日経平均は4割上げた。この経緯を踏まえて、スミザーズ氏は日経平均は今年、4万8000円まで上げる場面があるとみる。
- 政治主導の経済改革が進んだ当時と異なるものの、意外な類似点があるという。まず日本株への影響が大きい半導体市場の盛り上がりだ。世界半導体市場統計(WSTS)によると24年の世界半導体販売額は2年ぶりに最大となり、25年も2桁成長が続く見通し。04年もそれまで3年間の低迷期を経て、4年ぶりに販売額が最大となっていた。
- 国内景気の改善が続き、長期金利に上昇圧力がかかったところも似る。02年末時点で0.9%だった新発10年物国債の利回りは05年末には1.5%まで上昇。足元も金利上昇は顕著で22年末の0.4%から1.6%にまで水準を切り上げている。債券価格の下落を意味する金利上昇は一般に株式の割高感を意識させる。企業業績の伸びを手掛かりに、逆風を吹き飛ばして株高が続いた。銀行などの内需株が相場のけん引役になる構図も似通う。
- 日本株が浮上した局面として記憶に新しいのが第2次安倍晋三政権の下で13年から本格化した「アベノミクス」だ。だが海外マネーの流入額を比べると小泉期の方が評価は高い。海外投資家の日本株買越額は03~05年の累計で26兆円と、安倍期初期の3年間の16兆円を大きく上回る。
- アベノミクス下で日本株は「グローバル市場で相対的な地位を継続的に低下させた」と岡三証券の松本史雄チーフストラテジストは指摘する。海外投資家の視点に立ち、ドル建ての日経平均を米S&P500種株価指数と比べると分かりやすい。相対株価は09年以降、低下している。「異次元の金融緩和」のインパクトは大きかったが、円の下落がドルでみた日本株の運用成績をそいだためだ。小泉期に日本株の存在感が高まったのは円高・日本株高が共存したためだ。日本株への評価を映すPER(株価収益率)をみても明らかだ。株価が1株利益(EPS)の何倍まで買われているかを示す指標で、東証株価指数(TOPIX)銘柄の12カ月先予想でみると03~05年の中央値は18倍、13年以降は14倍だ。リーマン危機などの混乱を経て、基調として大幅に水準が引き下がった。
- JPモルガン証券の西原里江チーフ株式ストラテジストは、今後3年で日本企業が小泉期並みの評価を取り戻す可能性があるとみる。東京証券取引所のPBR(株価純資産倍率)改革がもたらした積極的な株主還元に加えて、企業は事業再編や成長投資などを増やしている。「改革は企業と市場が主役の自律的段階に入った」と評価する。
- 25年はこれまでのところ、小幅に円高水準に振れるもとで株高が続き、ドル建て日経平均はS&P500を5ポイント上回っている。上からの政策に頼らずとも日本株が持続的に上がり始める局面に入ったことを示唆しているのかもしれない。