政府「2万円一律給付」修正 参院選大敗、与党内に懐疑論 対象絞り増額案浮上
https://www.nikkei.com/paper/article/?b=20250821&ng=DGKKZO90796180Q5A820C2PD0000
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【コメント】
- どうやら自民党は、一律給付案を撤回するようです。
- 参院選挙での大敗を受け、一律給付は国民の賛意を得られなかったとの認識です。
- 野党は若干の相違はあるものの消費税減税を主張しており、秋の臨時国会で2025年度補正予算案が審議されるようですが、ここが最終決着の場となると思われます。
- 個人的には、少なくとも食料品に関わる消費税減税(あるいは廃止)が民意と思いますがいかがでしょうか?
【記事概要】
- 政府・自民党は秋にも策定するトランプ関税や物価高に対応する経済対策に関して、全国民を対象にした現金の一律給付案を見直す。対象を絞って増額するなど制度設計の変更を検討する。政府内には参院選の大敗も踏まえ、一律給付案に世論の支持が得られないとの懐疑論が広がっていた。
- 石破政権は参院選大敗を受け現金給付案を見直す(7月20日、自民党本部)
- 自民党は7月の参院選の公約で全国民に一律2万円を給付し、子どもや低所得の大人には2万円を上乗せすると掲げた。経済閣僚の一人は「給付の制度設計の見直しが始まっている。少なくとも公約とは違う形になる」と明言した。
- 参院選で一律給付案に「ノー」という民意が示されたとの受け止めが政府内で広がる。既存の給付制度がある子どもや住民税非課税世帯に限定して重点的に給付額を増額する案が浮上する。
- 与党も自民党の小野寺五典、公明党の岡本三成両政調会長が5日、国会内で会談し給付に関する制度設計を始めた。公明党内にはすべての現役世代に恩恵が届くように、一律で1人3万円を配るべきだとの意見がある。
- 新規の給付は一切しないという全撤回の案も政府・与党の一部にある。
- 政府・与党は現金給付を巡ってこれまでも方針を二転三転してきた。
- 自民、公明両党は4月に全国民を対象にした4万~5万円の給付を検討した。当時は野党から消費税の減税圧力が強まっている時期だった。
- 一度税率を下げると元に戻しにくい減税と比べ現金給付は1回限りの措置で個人の負担を減らすことができる利点があった。ただ報道各社の世論調査で評価が低く、いったん立ち消えになった。
- 再び給付案が浮上したのは6月だった。自民、公明両党の幹部らが参院選の公約に「給付」を明記することで合意。東京都議選の告示日の6月13日には石破茂首相が原則1人あたり2万円を給付すると突如表明した。
- 与党内での政策議論や調整を飛ばした首相の発信は「選挙前のバラマキ」との批判を浴びた。6月の日本経済新聞社の世論調査で給付について「効果があるとは思わない」と答えた人が82%にのぼった。「効果があると思う」は16%だった。
- 参院選の大敗で衆参両院で少数与党に陥落したことも今後の制度設計に影響する。
- 政府・与党は秋の臨時国会で経済対策の裏付けとなる2025年度補正予算案を提出する方針だ。成立に野党の賛成が不可欠だが、与野党間で意見集約は進んでいない。
- 首相周辺は現状で「補正予算案を通せるかどうかの前提がわからない」と話す。
- 立憲民主党は参院選公約に一律で1人2万円の給付を明記した。与党が一律給付を変える場合、立民が補正予算案に賛成しにくくなる可能性がある。
- 野田佳彦代表は4日の衆院予算委員会で(1)2万円給付(2)消費税減税(3)給付付き税額控除の導入――をセットで受け入れるよう首相に迫った。
- 日本維新の会や国民民主党は消費税減税を求め、現金給付には慎重な姿勢を崩していない。
- 少数与党下で経済対策の裏付けとなる補正予算を成立させるためには、野党の主張も反映して賛同を得る必要がある。
- 野党7党はガソリン税の旧暫定税率の廃止法案を秋の臨時国会で成立させることをめざしている。補正予算審議と重なってくる。消費税減税や「103万円の壁」の引き上げが与党との交渉材料になる可能性もある。