日本株揺らす「新興クラウド」の信用不安 日経平均株価3318円安https://www.nikkei.com/paper/20261016M101/EA10000/article/DGXZQOUB154DU0V11C26A0000000

【コメント】

  • 昨日、日経平均株価は歴代3位の下げ幅を記録しました(▲4.9%)。
  • きっかけは、米国AI新興企業(コアウィーブ)の財務懸念です。AI向けデータセンターを建設し貸し出す事業を始めた企業です。同社は、建設により巨額な債務を抱えていますが、この債務返済に懸念が高まり、同社の社債価格が急落しました。
  • この一部企業のAI関連財務懸念をきっかけに、昨日は世界全体の株価が下落しました。
  • ただAIの活用は緒に着いたところで、今後需要は大幅に拡大していく予想に変化はなく、資金が潤沢な大規模クラウド事業者(ハイパースケーラー)が市場を牽引していく見通しに変化はないようです。
  • ただ最近話題になっているAIを使った個人などの情報への不正アクセスなどの「暴走問題」もあって、AIの開発や使用に減速感があることも事実です。
  • 今後も長期的にはAIへの投資が拡大していくことが予想されますが、短期的な過剰投資には注意が必要だと感じます。
  • 数年毎に、世界の株価には調整局面がありますが、昨日の大幅下落がそれに当たるとすれば、アナリストが言っている11月以降から2027年にかけての世界的な株価上昇予想が実現するのではないか感じます。(投資は自己責任で!)

【記事概要】

  • 15日の東京株式市場で日経平均株価が前日比3318円(4.9%)安と急落した。きっかけは人工知能(AI)向けの米新興クラウド企業の信用不安だ。巨額投資の持続性や収益力への懸念から社債利回りが急上昇し、AIを支える日本の半導体株に売りが及んだ。
  • 日経平均は6日続落で6万4425円と、9月17日以来約1カ月ぶり水準に沈んだ。下げ幅は歴代3位の大きさ。売りを呼んだのが米コアウィーブ発のAI不安だった。
米新興コアウィーブの社債利回りが急上昇
  • 2017年創業の同社はAI向けデータセンターを築き、巨大な計算能力を貸し出して稼ぐ。アマゾン・ウェブ・サービス(AWS)を運営するアマゾン・ドット・コム、マイクロソフトなどの大規模クラウド事業者(ハイパースケーラー)に対し「ネオ(新興)クラウド」と呼ばれる。
  • AIクラウドは画像処理半導体(GPU)などを買い集めてデータセンターをつくり、大量の電力も使って演算能力を提供する資本集約型のビジネスモデルだ。ハイパースケーラーはAI競争の勝ち残りへ、計算資源を確保する巨額投資に潤沢な現金収入をつぎ込んできた。
  • これに対し、AI市場の急成長に乗って台頭した新興勢は高めの金利での負債調達に頼る。その代表格であるコアウィーブの社債価格が14日にかけて下げ足を速めたことで、投資家はAIの変調リスクに身構えた。
  • 英LSEGによると32年償還債は額面1ドルあたり80セントを割り込んだ。債券価格の下落は利回りの上昇を意味する。6月に表面利率9.625%で発行された同社債はわずか4カ月で15%台まで跳ね上がった。株価も14日に15%安と急落した。
  • 他の米クラウド企業の社債価格に大きな動きはなかったが株価は総じて下げた。同業ネビウス・グループは10%安、有利子負債が多い大手のオラクルも9%安となった。
AI投資「資金調達がボトルネックに」
  • 英紙フィナンシャル・タイムズ(FT)によると、コアウィーブの負債はリース債務を含め6月末時点で520億ドル(約8兆2000億円)にのぼる。社債利回りの上昇は資金調達コストの増加に直結する。「AI投資のボトルネックが電力から資金調達へと変わってきた」(和キャピタルの村松一之運用本部部長)
  • 松井証券の大山季之シニアマーケットアナリストは「コアウィーブ売り加速の明確な引き金はなかったが、投資家心理が不安に傾いた」と語る。社債利回りを決める土台となる米国債の利回りが切り上がり、ハイパースケーラーも外部調達に乗り出すなか、市場の懸念は過剰投資から資金集めの限界に移ってきた。
半導体株に成長鈍化の警戒感
  • そのあおりを日本や韓国などアジア株が受けている。
  • 「社債発行が難しくなれば大規模な設備投資がしにくくなり、恩恵を受けてきた日本の半導体株高の持続性にも疑念が出る」。大和アセットマネジメントの建部和礼チーフ・ストラテジストは、ネオクラウド発の日本株急落をこう解説する。
  • クラウド事業者はGPUを供給するエヌビディアなどに巨額を支払う。その先にはメモリー大手のキオクシアホールディングスをはじめ半導体の製造装置や部材メーカーがいる。AIの「黒子」が多い日韓は恩恵を受けてきたが、データセンター投資が減速すれば成長鈍化が波及しかねない。
  • 15日の東京市場ではアドバンテストや古河電気工業など10%超下げる銘柄が相次いだ。キオクシアの時価総額は21兆円強と6月ピークの3分の1に縮んだ。半導体2強で約5割を占める韓国総合株価指数(KOSPI)も8%下げ、4月7日以来の安値水準になった。
  • 日本株相場の先行きに対する見方は割れている。マネックス証券の広木隆チーフ・ストラテジストは「投資家が相当に神経質になり新たな不安材料への反応が大きくなっている」と話す。下値のめどに意識されていた6万5000円を下回ったことで6万円まで下げる展開も視野に入るという。
  • 一方、JPモルガン証券の西原里江チーフ株式ストラテジストは「ハイパースケーラーを含めAI関連の設備投資額は今後も上方修正が続くだろう。業績に対して今日の下げ方は過剰」とみる。
  • AIを巡っては不正アクセスなどをする「暴走問題」が次々と明らかになり、オープンAIやアンソロピックが開発減速の必要性を強調している。AI開発を先導してきた2社の転換で、計算資源の需要も減速しかねないとの見方も広がる。
  • 14日には米ガートナーが「30年までにネオクラウドの8割は独立した事業運営を停止せざるをえなくなる」との予測を発表した。30年までにAIインフラ全体で3兆5000億ドル超の減損リスクがあるという。
  • UBSの米州最高投資責任者(CIO)兼グローバル株式部門責任者、ウルリケ・ホフマン・ブルハルディ氏は「投資家はAI投資が持続的な収益成長や企業・消費者への普及拡大に結び付いている分野を見極める必要がある」と指摘する。米インフレ率の上振れも重なり、金利敏感なAI・半導体関連株は当面不安定な展開になりそうだ。