【コメント】
- 2024年度の財政の決算がはっぴょうされていますが、一般会計税収は当初の見積もりからやはり大幅に増加していたようです。つまり国の収入が多かったということです。
- 税収の絶対額も過去最高を更新し、2025年度もおそらくまた過去最高を更新していく可能性があります。
- この税収増加部分をどう活用するかが、目下の日本の重要事項です。物価対策や子育て支援などの経済対策に対し追加支出をするのか、はたまたGDP比で世界各国と比較して極端に多い巨額の国債の返済に当てるのかの選択です。(2023年度 米国 119% イタリア 134% 日本 240%)そしてもう一つの使徒は、中長期的な経済発展への投資拡大です。
- この三つの使徒を上手く選択することが政治の役割ですね。与野党ともに、目先の人気取りに固執することなく、適切な選択を行い臆せず国民に説明を願いたいと思います。
【記事概要】
- 先月、財務省から昨年度の決算概要が示され、国の一般会計税収に関する見積もりと実績の差である「上振れ額」が、当初予算比で約5.6兆円、補正予算比で約1.8兆円となることが明らかとなった。今年度も引き続き税収が過去最高を更新することが見込まれており、与野党の間ではそれらを給付や減税などの財源として活用すべきだとの主張が相次いでいる。
- わが国の一般会計税収は、バブル崩壊後の1990年代から2000年代初頭までは大幅な成長率の低下によって、ほとんどの年で下振れした。その後はデフレ下で税収を保守的に当初予算で見積もるようになった結果、リーマン・ショックや新型コロナウイルスの危機時を除けば、ほとんどの年で税収が上振れするようになった。
- 特に21年度から24年度の4年間、景気回復やインフレの影響で上振れ額は当初予算比で約23.7兆円、補正予算比で約10.2兆円にも達した。
- 税収の上振れは、短期的には経済対策の拡大などのための財政余力を高める。また、わが国では、物価高対策や子育て支援など、追加財源が必要な政策課題は多く存在する。ただ、税収の上振れ分を恒常的な財源と見なして追加の経済対策に使うことには慎重であるべきである。
- 既に財政赤字の累積は巨額に達している。そうしたなか、税収の上振れ分の多くを当面の経済対策に使ってしまうと、長期的には財政規律の緩みにつながるリスクがある。
- そうした観点から00年代前半以降、発生した税収の上振れ分に関しては、大半を国債の利払い費と償還費である国債費の減額に充てることが慣例となってきた。国債費に関する見積もりと実績の差を当初予算比でみた場合、国債費の下振れ額は過去20年余りの間の総額が20兆円を超えた。
- これは毎年の国債費を鑑みれば大きくないが、デフレ下でも、危機時以外は発生した税収の上振れ分が財政健全化に向けられたといえる。
- もちろんわが国で追加の経済対策が不要だと主張しているわけではない。それは新型コロナなど日本経済が深刻な危機に直面した際に大胆に発動すべきものである。しかも危機時には税収は大幅に下振れする。財政余力を平時に確保しておくことが重要で、税収の上振れ分はそのための原資の一つといえる。