逆輸入車、過去最多に 今年見通し ホンダ、インドからSUV 円安でもコスト優位https://www.nikkei.com/paper/article/?b=20251205&ng=DGKKZO93020750V01C25A2MM8000
【コメント】
  • 先週インドを訪問したので取り上げます。
  • 朝刊でインドからの逆輸入車が激増しているとの報道があります。
  • 25年1~11月の逆輸入車の販売台数は、前年同期比19%増の10万2332台で、年間ベースで過去最高だった1995年の10万7092台を上回るのは確実のようです。この逆輸入車増加にインドの存在が大きいとのことです。
  • 昔は円高で、日本で販売する自動車を海外から輸入する方がコストメリットがあったのですが、現在は円安。にもかかわらず特にインドの低賃金(日本の5分の1程度)を勘案すると円安でもインドから輸入した方がコストメリットあるとのことです。
  • インドからの輸入は低賃金だけではなく、その技術力にもあるようです。スズキ/ホンダともに日本国内で生産するのと同等な品質をインド生産でも達成できているとのことです。
  • インドは中国を抜き世界一の人口を誇り、かつ平均年齢はなんと約30歳です(中国は約40歳)。一部の都市部を除き電力や上下水道、道路などの整備はこれからという国情ですが、今後発展の余地が大きい国です。
  • 日本企業は中国から撤収し東南アジアに拠点を移し終えていますが、今後はインド進出が加速すると思われます。
  • 自動車産業と同様に他産業も今後ますます海外に生産拠点を置き逆輸入することが想定できますが、日本の貿易赤字拡大とそれに伴う円安加速が懸念(?)されます、、、。
【記事概要】
  • 海外から輸入する日本車の販売台数が2025年、30年ぶりに過去最高になる。ホンダスズキがインドからの輸入を大幅に増やしている。インドは人件費が安く、円安局面でも国内生産よりコスト競争力で優位だ。日本を主要な生産拠点とし、世界に輸出する自動車メーカーのビジネスモデルが変わり始めた。
  • 海外から輸入する日本車は「逆輸入車」と呼ばれる。日本自動車輸入組合が4日発表した25年1~11月の逆輸入車の販売台数は、前年同期比19%増の10万2332台だった。年間ベースで過去最高だった1995年の10万7092台を上回るのは確実だ。
  • 90年代は日米自動車貿易摩擦が激化した。1ドル90円前後の円高を背景に、政府が貿易摩擦の緩和を狙って輸入の拡大政策を推進し、一時的に米国からの逆輸入が増えた。
  • 今回は1ドルが150円を超え、輸入コストが増える円安局面で過去最高を更新する。円安でも輸入を推し進めるのは、世界3位の自動車大国であるインドの存在がある。
  • ホンダは2024年からインドで生産した小型多目的スポーツ車(SUV)「WR-V」を輸入しており、25年1~11月の逆輸入車の台数は3万5043台だった。
  • スズキも24年10月からインド生産のSUV「フロンクス」などを輸入しており、逆輸入車は前年同期比9倍の3万9009台だった。インドは人件費が安く、コスト競争力が高い。
  • 日本貿易振興機構(ジェトロ)の調査によれば、日系企業の工場で働く一般工の月額賃金はインドのニューデリーが3万7583ルピー(約6万5000円)。同じ首都の東京は29万5849円で、インドの人件費は日本の5分の1程度で済む。
  • インドが世界の車工場としての実力を急速に高めたことも大きい。スズキは日本が100万台で、インドは260万台の生産能力を持つ。鈴木俊宏社長はインドについて「技術レベルが上がっている」と述べる。日本で生産する自動車と品質は大きく変わらないという。
  • インドの24年の自動車販売台数は522万台で日本(442万台)を上回り、中国、米国に次ぐ第3の自動車大国だ。人口が14億人のインドは今後も成長が見込める一方、日本は人口減などで減少傾向にあり、25年は6年連続で500万台割れになる見通し。
  • 日本は急激なインフレが進んでいる。インドを世界の輸出拠点として位置づけて生産拠点を拡大した方が円安下でもなおコストメリットがある。ホンダは27年度から発売する電気自動車(EV)の世界戦略車「ゼロ アルファ」をインドで生産し、日本に輸入する。
  • 今後、逆輸入車は米国からも増える可能性が大きい。米国との関税交渉を受けて、国は米国車に対する認証手続きを簡素化し、米国から輸入しやすくする方針だ。トランプ米政権は10月にトヨタ自動車が米国で生産した車を日本に「逆輸入」する計画だと発表した。