金融市場の警告 「債券自警団」に隙見せるなhttps://www.nikkei.com/paper/article/?b=20260213&ng=DGKKZO94383420T10C26A2MM8000

【コメント】

  • 「債券自警団」という言葉があります。債券を出している母体が財政規律に基づいて運営されていない恐れがある場合に、金利が急上昇し債券価格が下落するということから、財政規律をチェックするという意味でこのように名付けられているようです。
  • 日本では、これまで超低金利(マイナス金利)でこの債券自警団が機能していませんでしたが、金利のある世界に戻った現在、自警団は活躍しはじめています。
  • 財政規律の乱れを予見し主に長期金利が上昇していましたが、衆議院選挙が終わり長期金利の上昇が一服しています。
  • これは、自民党圧勝により安易な財政バラマキに自制が働くのではないかとの見方によるものです。
  • しかし自民党が公約をした食料品2年間消費税ゼロが実施され、加えて経済復興のための財政投融資や防衛費が増額されていく可能性があり、自警団の活躍する機会が頻発する恐れがあります。
  • 長期金利の上昇は将来の国債利払いの大きな負担となり円安も招きます。
  • 記事にもありますが、今本当に消費減税が必要なのかをよく考える必要があると思います。そういう観点では、みらいが主張している「消費減税反対、社会保険料低減」が現実的なのかもしれません。
  • 皆さんは、どう思われますか?

【記事概要】

  • 「生まれ変われるなら債券市場になりたい。どんな人でも恐れさせることができる」。クリントン元米大統領の選挙参謀、ジェームズ・カービル氏の言葉だ。
  • 規律を欠く政府の財政運営に対して債券価格の下落(長期金利の上昇)で警鐘を鳴らし、政策の見直しを迫る。そんな市場の機能を「債券自警団」と呼ぶ。
  • 今回の衆院選はゼロ金利で長く仮死状態にあった日本の自警団の復活を知らしめた。高市早苗首相が1月19日に食料品を消費税の対象から2年間外す方針を示すと、国債を売る動きが広がり、長期金利の上昇に拍車がかかった。

財政政策に抗議

  • 1980年代に債券自警団という造語を考案した米著名エコノミストのエドワード・ヤルデニ氏は、自ら米経済テレビで「日本上陸」を宣言した。「日本では明らかに債券自警団がすさまじい影響を発揮している。無責任な財政・金融政策に抗議し、債券利回りを大幅に押し上げている」
  • その後、金利上昇はいったん一服した。まず効いたのが、日米当局の連携ムードである。ヤルデニ氏は「日本の債券市場は、世界中の政府に対して財政規律の必要性を明確に伝えている」とも表明していた。日本の金利上昇が世界の懸念材料になったからこそだ。
  • 日本の自警団を日本以上に警戒したのはベッセント米財務長官だろう。日本国債への売りと円売りが連鎖するなか、米国債に売りが波及する場面もみられた。同氏にとって米債券市場の安定は金融と経済の要だ。
  • 米通貨当局は1月23日、金融機関に取引価格を照会して円買い介入をちらつかせる「レートチェック」と呼ぶ手法をとったとみられる。円安を鎮め、日米債券市場の安定を狙った。

危うい米国頼み

  • だが、大和証券の山本賢治チーフエコノミストは「米国の協力は、日本に円安や金利上昇を避ける明確な政策調整を求める圧力にほかならない。フリーランチ(ただ飯)はない」と分析する。「代償」は米国債の安定消化と防衛費の着実な積み増しかもしれない。
  • そして選挙後。自民党の大勝で株高にわくなか、金利上昇が激しかった期間30~40年の国債への売りは止まった。JPモルガン証券の山脇貴史債券調査部長は「野党の言いなりで歳出が野放図に膨らむ事態は避けられ、財政運営に最低限のコントロールが利くとの思惑が働いた」とみる。
  • 債券自警団が消えたとみるのは早計だ。市場にとって「消費税減税というパンドラの箱が開いた」(山脇氏)事実は変わらない。
  • 野村証券の松沢中チーフ・ストラテジストは「成長戦略から外れたところに安易にお金を投じる姿勢をみせた」と指摘し、「今は財政でふかす景気状況ではない。景気が悪くなったら『何でもあり』になるのではないか」と危惧する。
  • 高市首相は9日、消費税減税を巡る国民会議の議論では「金利や為替など金融市場への影響」に配慮する姿勢をにじませた。それなら減税が必要なのかという原点から検討すべきだろう。債券自警団に隙をみせて暴走を許せば、経済の混乱を通じて有権者の負託を裏切ることになる。