首相、蜜月へ手応え 呼び名は「サナエ」に  安倍レガシーをフル活用https://www.nikkei.com/paper/article/?b=20251029&ng=DGKKZO92234590Y5A021C2EA1000
【コメント】
  • 昨日、高市氏とトランプ氏による日米首脳会談が開催されました。
  • テレビなどで放映されていましたが、とてもいい感じの交流の場であったとの印象を受けます。
  • 両氏とも故安倍氏を引き合いに出し共通の話題が多かったのだと感じます。どうやら、「ドナルド」「サナエ」と呼び合える関係が構築できたようです。今回高市氏が首相に就任したことにより、外交上かなり重要なトランプ氏対策がうまくいったと思われます。
  • 今回の首脳会議で、トランプ氏側からは円安など特定な事象に注文がついたことはないようで、先の80兆円の対米投資の着実な履行が主な確認事項だったようです。
  • 高市政権は、当面の東南アジア諸国連合関連首脳会議とトランプ氏来日という外交課題を無事にこなしました。これはさすがという感があります。今後は臨時国会での物価高対策などの諸課題をいかに国民の納得感のある形で進められるかが注目ポイントです。
【記事概要】
  • 高市早苗首相は28日のトランプ米大統領との初めての会談で信頼の構築に一定の手応えを得た。「最高の首相」と持ち上げられる場面もあった。安倍晋三元首相が築いたトランプ氏との蜜月時代のレガシー(遺産)をいかし、後継者を演出した。
  • 首相は一連の行事を終え、首相官邸で記者団に「幅広い分野の率直な議論で大きな成果をあげられた。日米同盟をさらなる高みに引き上げられると確信した」と述べた。
  • 首相は21日に就任してから連日、トランプ氏との会談に備えて勉強会を重ねた。唯一の同盟国である米国の大統領と独自の友好関係を築けるかは政権の命運を左右する。初回の会談に細心の注意を払った。
  • 「開始が遅れて失礼した。大統領の部屋で野球を見ていた」。東京・元赤坂の迎賓館で開いた首脳会談の冒頭。首相は親密さを印象づける話題から切り出した。米大リーグ・ドジャースの大谷翔平選手が出場するワールドシリーズの中継を観戦した。
  • スポーツの話題は安倍氏が首相時代もトランプ氏との間でたびたび出した。「ゴルフ外交」と称され、在任中に5回プレーをともにした。
  • 250本の桜を寄付
  • 首相は米国が2026年に建国250年を迎えるのにあわせ、首都ワシントンに250本の桜を寄付すると告げた。トランプ氏も「Oh good!」と返し、場の空気が和んだ。
  • 首相の通訳は外務省の高尾直・日米地位協定室長が務めた。安倍氏とトランプ氏の会談の通訳を一手に引き受け、トランプ氏からも「Little prime minister(小さな首相)」と信頼される。発言者の意図をくんだ当意即妙な通訳に定評がある。
  • トランプ氏の大統領再登板にあわせ、日米首脳会談を専門とする通訳に復帰し、石破茂前首相時も務めた。今回は高市首相の発言にはなかった「with you(一緒に)」というニュアンスを2カ所加えるなど「トランプ氏との協力感」を強めた。
  • 首相が手土産に用意したのは安倍氏が使っていたパターとプロゴルファーの松山英樹選手のサインが入ったゴルフバッグ。金沢の金箔でコーティングしたゴルフボールも贈った。
  • 「JAPAN IS BACK」と書かれた黒い帽子も準備した。トランプ氏がよくかぶる自身のスローガン「Make America Great Again(米国を再び偉大に)」を書いた赤い帽子を模した。安倍氏も過去に「MAKE ALLIANCE EVEN GREATER(同盟をより偉大に)」と記した帽子をプレゼントしたことがある。
  • 米原子力空母「ジョージ・ワシントン」への乗艦も、19年5月にトランプ氏が国賓来日した際の行程を意識した。安倍氏とともに日本の護衛艦「かが」に乗った。
  • トランプ氏は首相に最大限の賛辞で応じた。空母で演説した際に「この女性は勝者だ。私たちは非常に近しい友人になった」と訴えた。
  • 会談の冒頭では安倍氏から話を聞いていたと紹介し「史上最高の首相の一人となるだろう」とたたえた。「あなたに伝えておきたい。何か質問や疑問、要望、日本を支援するためにできることがあれば、いつでも応える」と言い切った。
  • 昼食会でトランプ氏は「ドナルドと呼んでくれ」と語りかけた。首相の呼び名は「サナエ」になった。安倍、トランプ両氏も互いをファーストネームで呼び合った。
  • 首相が安倍氏を意識してめざすのはトランプ氏との「蜜月」の再来だ。1月に大統領に返り咲いて以降、同盟国の日本にも高関税を迫り、アジアの共同防衛への意識も乏しい。日本政府は厳しい安全保障環境を考慮して、日米同盟の引き上げを狙う。
  • 首相は安倍氏が使っていた「世界の真ん中で咲き誇る日本外交」というフレーズをたびたび使う。16年に同氏が提唱し、その後、トランプ政権も受け入れた「自由で開かれたインド太平洋」を高市外交のキーワードに据える。
  • ノーベル賞推薦
  • トランプ氏を一方的に持ち上げる手法には懸念も残る。米政府側の発表によると、高市首相はトランプ氏をノーベル平和賞に推薦すると伝えた。同氏はかねて受賞に強い意欲を示してきた。
  • 会談ではトランプ氏がタイとカンボジアの紛争終結に尽力した点に触れた。イスラエルとイスラム組織ハマスの停戦合意が実現したことにも言及し「かつてない歴史的偉業だ」と称賛した。
  • トランプ氏は「力による平和」を外交方針に掲げ、ウクライナやパレスチナ自治区ガザでの停戦協議を進めてきた。国際秩序を軽視するような独断的な態度も目立つ。
  • ロシアとウクライナの停戦協議を巡っては、ときにロシアに融和的な姿勢をみせる。米国に過度に肩入れすれば、法の支配や民主主義などの価値の重要性を訴えてきた日本の外交姿勢との矛盾を問われるリスクがある。