中小融資、担保は企業価値 新法成立、メガバンクが活用へ準備
https://www.nikkei.com/paper/article/?b=20240614&ng=DGKKZO81374380T10C24A6EE9000
  • 企業の技術力や成長性といった事業価値を担保に融資できるようになる新法が成立。不動産、生産設備を持たないスタートアップや、後継者難で事業譲渡を検討する中小企業が資金調達しやすくなる。
  • これまで銀行が企業に融資する場合、返済されないリスクに備えて担保や保証をとる。経営者個人の資産、企業が持つ不動産、在庫や売掛債権など動産を担保としてきた。
  • しかし、これらは企業が傾いたときに企業活動に欠かせないオフィスや生産設備を失いかねず、企業再生の足を引っ張る要因になる。
  • またスタートアップなど新興企業は担保として差し出せる手持ちの資産が少なく、融資を受けにくい課題があったが、企業価値を担保にできるようになれば、資産を持たなくても成長が見込める事業モデルなどに融資しやすくなる。
  • ただ、企業価値は事業環境が悪くなれば減少、消失するリスクがあるため債権者である銀行が、中小企業などに日頃から目を配り、事業が傾き始めたら早期に経営支援や再建に取り組む意識が高める必要がある。
  • 現状、地銀の多くが融資する際に使うのは、企業の貸借対照表や損益計算書、調査会社の評価を機械処理にかけ、評点を出して債務者区分する方法。企業価値担保権が導入されれば企業のノウハウや技術力、将来性など財務諸表に表れない価値を行員が評価する必要があり、特に将来キャッシュフローの現在価値をはかるディスカウントキャッシュフロー法がよく使われるが、地銀などになじみは薄い。「営業の現場が案件を取ってきても審査部門が対応できるのかが心配だ」(金融庁)との声もある。
  • 今後の日本経済再生には、欧米の例を見ても中小企業の活性化がポイント。そのためには、金融機関の企業価値評価スキル向上や企業価値向上のアドバイス力が重要。