開示地獄に企業が悲鳴 情報量、米英の1.2~1.4倍でも投資家は不満
https://www.nikkei.com/paper/article/?b=20240701&ng=DGKKZO81763190Q4A630C2TL5000
https://www.nikkei.com/paper/article/?b=20240701&ng=DGKKZO81763190Q4A630C2TL5000
- 「わかる! 合意! 早く変えろ!!」と思う記事。
- 上場企業が情報開示の負担は重い。財務状況のほか社会貢献への取り組みなど、世界の変化を受け投資家が知りたい情報は年々増ている。これに加え、日本は複数の法律やルールに合わせ、開示書類を別々に作る特有の煩雑さがある。情報量の多さは世界でも突出している!
- まず有価証券報告書だが、2020年3月期に事業リスクの記載の充実が必要になり、23年3月期は女性管理職比率などの人的資本に関する指標の開示が必須となった。有報開示事項は、10年で4割近く増えた。
- 加えて、環境保護にどのように取り組むか、といったESG(環境・社会・企業統治)を巡る課題を中心に財務以外の情報も投資家は重視しており、これらは有報の他に「統合報告書」「サステナビリティーリポート」などを任意でまとめる必要がある。
- 更に日本特有の負担がある。縦割りの開示ルールだ。金融庁は所管する金融商品取引法の規定で、企業は決算期末から3カ月以内の提出義務を規定。法務省が所管の会社法に基づき、1年間の経営環境を株主に分かりやすく説明する事業報告書や決算書類提出を規定。加えて証券取引所の開示ルールにより、上場企業は決算期末から45日以内の決算短信の公表が求められる。これが開示資料地獄の原因!
- この非効率な開示義務の結果、日本は世界でも有数の「開示大国」になった(なってしまった)、経済産業省の調べによると、24年1月時点の日本の上場企業の1社あたりの開示資料の総ページ数(制度開示と任意開示の合計)の平均は398ページにのぼり、米国や英国に比べ2~4割多い。
- 一見すると日本は開示が充実しているようだが、機関投資家は内容に満足していないとのこと。経済産業省の資料によると、17年~18年の統合報告書の満足度(3点満点)で日本は1.38。米英仏独など調査対象10カ国の平均(1.82)を下回っている。役員報酬の算定額や事業リスク、企業業績への分析が不十分との指摘で、情報量が多くても、投資家のニーズとは必ずしもかみ合っておらず投資家の不満が大きいようだ。
- この縦割りの開示義務も、日本の産業競争力を削ぐ一つの大きな原因。本来、本業に従事し業績向上に従事しなければならない人財が、規制当局別に不効率に定められている開示ルールに対応せざるを得ないからだ。
- 監督官庁は至急改善を実施する必要があると思われる。