円安が促す金融政策の正常化
https://www.nikkei.com/paper/article/?b=20240814&ng=DGKKZO82759370T10C24A8EN8000
ここにきて再度ドル円は150円を目指す展開になっているが、先月の160円代の円安は何をもたらしたのかが解説している記事
米国景気の減速を示す統計と相まって、今月初めの為替レートはかなり大きく円高に振れたが、それでも相当な円安水準。この円安が日銀に金融政策の正常化を促す重要な力となっている。
一番分かりやすいのは、円安が輸入物価を押し上げて日銀が目指す消費者物価の2%上昇につながること。ただ一方で実質賃金が目減りし国民の不満が高まっていることがあるが、企業がここ2年ベアを認めたのは「超円高の時代はもう来ない」と考えるようになったから。日銀も米国の利下げが予想される時期に利上げに踏み切ったのは「もう急激な円高の心配はない」と考え始めたから。
しかし、これまで財政赤字が拡大しても国債が暴落する心配はないと考えられてきた一因は、家計貯蓄が外貨投資に慎重になる「ホームバイアス」だったこと。
ただ、新NISA(少額投資非課税制度)で日本人の海外投資人気がホームバイアス低下現象となっている。
今後、日本人の海外投資がますます増加することが予想されるが、これにより相対的に日本国債購入が減少する。日本国債を売って行くためには金利を上げていく必要がある。
ただ、「利上げ→円高→株暴落」という現象が現実化した現在、利上げには慎重にならざるを得ないと考えると、果たして日本国債は売れるのだろうか?
そう考えると、今後は政府支出を更に厳格化し単年度の財政赤字を出さないことが必須であるとともに、これまでの巨額の国債利払いを考えると、財政を黒字にして債務を削減していくことが必要。そうしないと日本国債の格付けがますます低下、つまり日本の国際的な位置付けが低下する。
国会議員の定数削減や経費の徹底した透明化、国会での質疑準備のための深夜手当やタクシー代がかかる官僚の酷使、効果が不透明な補助金の徹底削減、など、「出るを制する」政治が必須。