ふるさと納税1兆円時代2 「東京の自治が沈没する」
https://www.nikkei.com/paper/article/?b=20240821&ng=DGKKZO82908840Q4A820C2EA1000
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- 来年後半から、ふるさと納税のポイント付与が禁止される。だからと言って概ね無料で地域の特産品をもらえるふるさと納税が減少するとは思えない。しかし弊害も顕在化しているようだ。
- 練馬区では、区民が他自治体にふるさと納税をしたことで、2024年度に約50億円の税金が流出。これは学校1校を建て替える費用だそうだ。また23区で流出額が最も多い世田谷区は、年間110億円の減収となっているが、これは区立小中学校の給食費の無償化にかかる予算の約3年分に相当する。
- 都内では寄付者の住民税控除に伴う税収流出が増え続け、制度開始以降の累計は1兆円近くになる。
- 地方交付税交付団体は流出額の75%を国が補填するが、東京23区などの不交付団体は受けられない。
- 23区長会は総務省に「制度の廃止を含めた抜本的な見直しを求める」要望書を提出。
- 一方、江東区や千代田区、中央区はふるさと納税に肯定的。中央区は、最高額が1100万円(寄付額3700万円)の「銀座テーラー」のフルオーダースーツ仕立券を返礼品に加えた。独自の高級路線で寄付額の増加を狙う。
- 「都市部にしかないものと言えば超高級品や、希少価値の高いもので高額の寄付になる。地方に住む高額納税者を狙っていくことになるが、そのような競争で良いのか」。都市と地方が争うのは「本末転倒ではないか」。
- 総務省は都市部からの流出について、制度上やむを得ないと静観する。
- 都市と地方がともに納得する持続的な制度への道はまだ見えない。
- 東京都や川崎市、横浜市は相対的に若い年代の人口増加となりやすい。この現象の良し悪しは議論の分かれるところだが、事実としてこれらの地域は社会的インフラの増強/修繕が必要。よって適切な税収確保は必須。
- ふるさと納税は、各地の産業を活性化させる利点はある。ただ、地方の人口減少による地方の税収減少、これに伴う地方のシャッター商店街化を改善したいならば、違う方法があるのかもしれない。
- 例えば、①地方交付税をさらに増加させ地方のインフラ充実に充て地方で住む魅力を増す ②地方の法人や住民の税率を引き下げ都市部の税率と差をつけ(国税部分のみ引き下げ)地方で住むメリットが実感できるようにする などなど。
- 一方、日本の人口がこのまま減少していくことを是認するならば、日本人が首都圏や関西圏に集中して暮らすことも社会インフラコストの効率性の観点では必要なのかもしれない。