ブラックマンデー、令和と昭和 急落後、自社株買い加速
https://www.nikkei.com/paper/article/?b=20240829&ng=DGKKZO83080890Y4A820C2EN8000
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- 8月上旬に突如起きた株価の急落。1987年10月に米国で起きた「ブラックマンデー(暗黒の月曜日)」と重ね、「令和のブラックマンデー」と呼ぶ声がある。
- それは急落したという事象にとどまらないかもしれない。急落後の反応も合わせて相似形にみえるところがある。企業の自社株買いだ。
- 日経平均株価が前営業日比4451円安と過去最大の下落を記録した今年8月5日の翌6日。キヤノンは1000億円を上限とする自社株買いを発表、その決定は機敏だった。
- 1000億円の自社株買いを決めた大和ハウス工業の発表は7日。
- 日本パーカライジングは9日、150億円の自社株買いを発表。
- 株価急落後に広がる自社株買いは、87年のブラックマンデー後の米国でも起きた現象。
- 当時、米ダウ工業株30種平均が1日で23%安を記録。そのあとIBM、フォードなど主力企業が相次いで自社株買いに動いた。
- 「米国の企業経営が株主価値重視へ大きく変わった80年代。その転換期に起きた現象が、自社株買いの拡大だった」
- カネ余りが買収資金を支える。一方で経営者に対する厳しい視線も当時の米国の特徴。「今の日本にとってデジャブ感がある」。
- セブン&アイ・ホールディングスに対するカナダのアリマンタシォン・クシュタールによる買収提案。まさに株価急落のあとだ。
- 資本を遊ばせず、企業価値を高め続ける経営への要請。昭和の米国で起きた経験が、令和の日本に問いかけている。
- 1987年のブラックマンデー以降、米国企業は資本効率の改善に軸足を移した。令和のブラックマンデーを契機に日本企業も、資本効率経営に傾斜する傾向が顕著にはなってきている。
- 日本企業は、この方針を堅持することは重要だが、自社株買いとは(当たり前だが)自社の現金を使って自社の株を購入するということ。本来は、この現金を設備投資や研究開発費に振り向け、将来のキャッシュをより多く産んでいくことが企業の本来の目的。
- 1987年のブラックマンデー当時、自社株買いに動いた企業(IBM、フォード)の現時点での競争力を見ると、果たして自社株買いが産業の発展にとって良いことなのかどうかをよく考える必要があるかもしれない。