経営改革試す修正PBR 継続重視、物言う株主背景に
https://www.nikkei.com/paper/article/?b=20240910&ng=DGKKZO83344670Z00C24A9EN8000
【コメント】
  • 「PBR」とは、「株価純資産倍率」の略で、企業の株価と企業の純資産(財産の価値から負債を引いたもの=バランスシートに計上されている簿価ベース)の比率。 これは、企業の価値が適切に評価されているかどうかを判断するための指標として利用される。
  • この記事の「修正PBR」とは、簿価ベースの純資産に含み益を加えた「修正純資産」で算定するもの。
  • 例えば大手不動産会社などは大昔に取得した低価格の不動産を多く保有しており、簿価ベースでPBRを算定すると高い値になり優良企業という評価になる。しかし、不動産価格は値上がりしており、バランスシートに計上されていない含み益も含めPBRを算定することが時価を反映し優良企業ではないとの評価に変わる場合もある。修正PBRが低いということは、不動産の売却により含み益実現を促していると考えられる。
【記事概要】
  • 東証が企業に対し株価上昇へ発破をかけてから1年半。「PBR(株価純資産倍率)1倍割れ解消」を合言葉に企業が取り組みを加速させるなか、アクティビスト(物言う株主)の存在を背景に、簿価ではなくより実態に近い資産価値を反映した「修正PBR」を物差しに経営改革に取り組む企業が評価されている。
  • ライフネットは、「P/CE倍率」を採用。PBRが株価を1株あたり純資産で割るのに対し、P/CE倍率は1株あたり包括資本(CE)で割る。包括資本は純資産部分だけでなく、保険契約がもたらす将来利益を加えたもの。保険会社の企業価値をより適切に表す。
  • 豊富な資産を抱える業種は修正PBRの重要性が高い。三井不動産は4月、3年間で2兆円の資産売却や政策保有株式の半減を目指すと公表。「不動産大手は買収されるリスクを真剣に考え、株式市場に向き合うようになっている」
  • 東証プライム企業のPBR中央値は9月6日時点で1.07倍、1倍割れは45%だ。東証要請が出た23年3月末の1.02倍、49%から改善が進んだ。より実態に近い修正PBRへの意識が高まれば、日本株の底上げにつながりそうだ。