経営者の危機管理と第三者委
https://www.nikkei.com/paper/article/?b=20240911&ng=DGKKZO83375800Q4A910C2EN8000【コメント】
  • どの論点も「その通り」!
  • 短く良い記事なので全文掲載します
【記  事】
  • 企業の不祥事が発生すると、第三者委員会を設置し事実が解明される。特に不正会計が疑われる場合、監査法人と会社側の見解が異なることから第三者による検証が必要になる。しかし最近は過大ともいえる調査費用が問題視されている。
  • たとえば電気自動車(EV)の充電事業などを手掛けるENECHANGE(エネチェンジ)の事例では売上高が数十億円、利益がほとんどないにもかかわらず、監査法人と第三者委員会の報酬が約10億円に上った。また監査法人が第三者委員会の設置を求めたにもかかわらず、最終的にその意見を採用しない異例の事態となった。
  • この事例は、第三者委員会の存在意義やコストの妥当性に疑問を投げかけた。監査法人と会社側で直接解決すべきだったという意見もある。不祥事はあってはならないが、調査費用で経営基盤が損なわれるのは本末転倒である。
  • 不祥事の調査では第三者委員会に加え、専門会社がデータを解析することが多いが、いくつか問題がある。大手の会計事務所や法律事務所が関与する場合、たくさんのスタッフが投入される。アナログな作業が多く、効率化されていない。また調査範囲を決める委員が自身の所属する事務所に依頼することもあり、利益相反のリスクが生じる。
  • 第三者委員会を設置する際には、委員やデータを解析する調査会社の選定が非常に重要である。大手事務所に依頼すれば安心という考えは、高額な費用を招きかねない。また不祥事対応を専門とする会計事務所や法律事務所の寡占化が進んだ結果、コストの透明性が問題となっている。
  • 多くの経営者は不祥事は起きないと考え、準備を怠りがちである。いざ不祥事が発生すると、適切に対応できず専門家の選定が遅れ、他者に判断を委ねてしまう。特に経営トップが関与する場合、リーダーシップが発揮されず、対応が遅れることが多い。
  • どれほど困難な状況であっても、適切な対応で会社の損害を最小化することが経営者の責務であり、ガバナンス(経営統治)の基本である。平時から専門家との関係を構築し、有事に不必要なコストをかけずに第三者委員会を運営できる体制を整えることも、経営者のリスクマネジメントとして重要な課題のひとつである。