日本、戻らぬ財政規律 支出抑制はG7で最小 20~24年GDP比4.9%減 米英は10%超減
https://www.nikkei.com/paper/article/?b=20241017&ng=DGKKZO84154530W4A011C2EP0000
https://www.nikkei.com/paper/article/?b=20241017&ng=DGKKZO84154530W4A011C2EP0000
【コメント】
- 昨日、与野党のバラマキ政策とその非難記事があったが、今日の朝刊ではそれを裏付ける記事が出た。
- 石破新首相は、昨年を上回る補正予算を宣言しているが、GDP比で債務残高が世界で最悪(国の借金が最も多い)の日本の新首相が、人気取りのためにまた国の借金を増加させようとしている。
- 低所得者への支援は必須だが、国民全員に電気料金やガソリン代の補助をすることが本当に良いことなのかを再考する必要があると感じる。
- 補助をせず価格が高くなれば、使用を控えたり販売価格に転嫁するなどして、需要が調整され、価格が自然に抑制される。車やエアコンの使用を控えることによって環境にも優しい行動が誘因されるとも考えられる。
- 政治家の人気取りによる人為的な価格操作は、資源価格や環境に悪影響を与えているのではないか? 石破新首相は英国のトラス氏と同じ道をたどるか?
【記事概要】
- 国際通貨基金(IMF)によると、20年から24年にかけての政府支出対GDP比は、米国が17%減、英国が11.8%減だった。日本は4.9%減で主要7カ国(G7)で最も減少率が小さい。
- 20年はコロナ禍で各国とも大規模な財政出動に踏み切った。日本は20年度に補正予算を3回編成し累計額は70兆円強にのぼった。財政制度等審議会(財務相の諮問機関)の財政制度分科会が分析したところ、足元は平時に戻る動きが見られるものの、コロナ前の19年と24年を比べても日本は13.5%増と他国より回帰が遅い。
- 石破茂首相(自民党総裁)は衆院選公示日の15日、福島県いわき市での街頭演説で経済対策の規模に言及した。「国費13兆円、事業総額37兆円が昨年の補正予算だった。それを上回る大きな補正予算を国民に問い、国会の審議をたまわり成立させたい」と語った。
- 英国では22年、当時のトラス政権が就任直後に打ち出した財源の裏付けのない大型減税策が金融市場の大混乱を招き、トラス氏は就任わずか49日で辞任に追い込まれた。
- 足元では日銀が異次元の金融緩和を正常化し、利上げに踏み切った。「金利のある世界」の復活で利払い費の増加が現実味を帯びるなか、財政規律を回復させる必要性は高まっている。
- 米国は、新たな歳出や減税にあたっては財源確保を義務付ける「ペイ・アズ・ユー・ゴー」原則を法制化しているほか、連邦政府が負える債務上限も法で定める。欧州連合(EU)も条約で基準値を定める。
- 日本はオーストラリアやカナダなどと並び、こうした財政ルールの履行確保の仕組みがない国の一つという。すでに債務残高対GDP比は257.2%と、178カ国・地域で最悪の水準にある。