民主主義は失敗の積み重ね
https://www.nikkei.com/paper/article/?b=20241103&ng=DGKKZO84556500S4A101C2EA3000
衆院選、若者の自民傾斜が一転 比例票は第3党以下が過半 政治不信受け皿分散
https://www.nikkei.com/paper/article/?b=20241103&ng=DGKKZO84559730T01C24A1MM8000
衆院選小選挙区「無効」167万票 政治不信で白票増加か
https://www.nikkei.com/paper/article/?b=20241103&ng=DGKKZO84556470S4A101C2EA3000
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衆院選、若者の自民傾斜が一転 比例票は第3党以下が過半 政治不信受け皿分散
https://www.nikkei.com/paper/article/?b=20241103&ng=DGKKZO84559730T01C24A1MM8000
衆院選小選挙区「無効」167万票 政治不信で白票増加か
https://www.nikkei.com/paper/article/?b=20241103&ng=DGKKZO84556470S4A101C2EA3000
【コメント】
- 今日は文化の日。今朝の東京は約20度で快晴! 文化の日は晴天に恵まれる可能性が高いそうで、過去の統計からすると70.5%が晴れだったそうだ。晴天の1日、外で楽しみたいものですね。
- さて、今朝は「民主主義は失敗しながら成長していく」という記事があったので取り上げた。Make your own mistakes.(失敗は自分でしよう)。選挙などの政治に参加せず不満を言うよりも、積極的に参加して改善していくことが重要との内容です。
- 今回の小選挙区での白票が167万票もあったそうだ。投票に占める割合は2.99%で、前回2021年の2.45%から高まったそうだ。これは投票所まで行って「適任者がいない!」と言うメッセージであろうから民主主義に参加していると感じる。
- 相対的に30代以下が今回の選挙を主導したと言う統計があり、お金のかかる現役世代が本気で政治を考え始めた証拠。非常に良い傾向だと思う。
【記事概要】
- 衆院選が終わって1週間になる。投票前の取り組み、例えば「各党の公約を読み比べる」などを指南する向きはよく目にするが、選挙後にこうしようという話はあまり耳にしない。
- 「(人民が)自由なのは選挙する間だけで、議員が選ばれてしまうと奴隷となり、何ものでもなくなる」これは18世紀のフランスの思想家ジャン・ジャック・ルソーの著書「社会契約論」の一節だ。私たちは奴隷とまでいかなくとも、政治と縁遠い、無力な存在に逆戻りしたのだろうか。
- 投開票日の1週間前に共同通信社が実施した衆院選トレンド調査で、望ましい政治体制を尋ねている。▽与党と野党の勢力が伯仲する(49.7%)▽与党が野党を上回る(24.8%)▽与党と野党が逆転する(20.5%)自民党が後退し、立憲民主党との議席差は小さくなった。それで国民の半数は大喜びしているかというとそうでもない。どんな政治体制になっても不満をくすぶらせる人々がいるのが世の中というものである。
- 世論調査を実施するマスメディアの片隅にいる身ではあるものの、私個人は特定のシングルイシューに関する世論調査の結果を振りかざして、政治の針路の修正を頻繁に迫るのがよいこととは考えていない。政治はさまざまな相矛盾するイシューを調整して最適解を求める作業である。うまくいくとは限らない。
- 有明海の水門を巡り、裁判所が開けという判決と閉じろという判決を相次いで出したことがあった。専門家の意見をよく聞き、無私な裁判官が取り組んでもこの結果である。私心を捨てづらい政治家が失敗ばかりなのは当然ともいえる。
- ましてや個々の課題だけを取り出して矯めつすがめつすれば、あらが目立つのは避けがたい。
- それを批判するのは簡単だが、この頼りがいのない議員集団を生み出したのは私たち自身だ。選挙の後に「これは民意ではない」と騒ぐ人がいるが、日本ほど選挙が公正に運営されている国は世界でも珍しい。
- SNSでは「躍進した○×党の支持者など自分の周囲で見たことがない」という趣旨の書き込みを散見するが、そういう人は自身の人付き合いの狭さを省みた方がよいのではないか。
- 失敗しないことを前提にした政治体制もあることはある。古代ギリシャの哲学者プラトンは「哲人政治」を理想とした。哲学を身につけた人物に政治を任せるというもので、ある種のエリート主義といってよいかもしれない。浅学非才の身には独裁政治との違いがよくわからない。
- エリート主義でいえば、中国の歴代王朝は科挙と呼ばれた学力テストの合格者に国のかじ取りを委ねた。成功もあったが失敗もあった。トータルの損得勘定は微妙である。
- 20世紀を席巻したファシズムは「カリスマ指導者に一任」となりがちな政治体制だった。うまくいかないどころか悲惨な結末を招いたことはご存じの通りだ。
- 米国の大学院で行政学を習っていたとき、教授が民主主義をこう定義したことがあった。Make your own mistakes.(失敗は自分でしよう)民主主義はたくさんの国民の集合知に期待する仕組みであり、繰り返しになるが、失敗も多い。それでも自身で犯した失敗と、他人任せで降ってきた失敗のどちらが我慢できるかとなると、答えは明らかだろう。自らの失敗の積み重ねの先に少しでもましな日が来ると信じることこそ民主主義の本質ではなかろうか。