働き控え解消へ一歩 「103万円の壁」上げ、手取り増  玉木氏、消費拡大と主張 「扶養内意識」学生61万人
https://www.nikkei.com/paper/article/?b=20241121&ng=DGKKZO84934930R21C24A1EA2000
【コメント】
  • 所得の3つの壁が引き上げられる(あるいは廃止)かもしれない。
  • 大昔の経済情勢のもとに算定された103万円や、専業主婦を前提としていた扶養控除制度が、今の世の中では制度疲労を起こしていることは間違いない。これが人口減とともに働き手を減少させている一つの要因になっている。
  • とにかく現行制度が複雑、わかりづらい。この複雑さが公的機関や社会保険/確定申告を取り扱う民間の事務所に大きな事務負担を強いているのではないかと思う。
  • 壁を引き上げたり廃止したりすると知事らから地方財政の悪化を招くとの意見があるようだが、本当にそうか?
  • 先般の国会中継を見ていてると議事進行は緩慢、議員の数も多く感じる。また予算委員会などでは、スキャンダルを取り上げ追求するなど、予算とは関係の薄いことに時間を費やしているように映る。居眠りをしている議員も多数見られる。地方議会も同じ傾向には変わりがない。
  • まず、国会議員や地方議員の人員削減や支出削減、各官公庁の予算見直しなどを徹底すれば数兆円程度の財源は簡単に埋め合わすことが可能だと感じる。
  • 先般の会計検査院の調査でも、民間への業務委託が下請け/孫請と委託され、各委託段階で中間マージンとっているひどすぎる補助金の使い方が指摘されていた。また各官公庁の外郭団体が多くあるが、一部は上級公務員の天下り先として使用されている疑いもある。
  • 壁の見直しと同時に、このあたりをムダをこの際徹底排除すべき。国会(地方)議員や官公庁職員自らできないならば、それこそ民間に委託して思い切った経費削減を行うべきと思われる

 

【記事概要】
  • 自民、公明、国民民主の3党が「年収103万円の壁」の解消を検討することで合意した。
  • 年収が一定額を超えると税金や社会保険料の支払いが必要となり、この負担によって手取りが減るのを避けようとして働くのを控えてしまう問題を「年収の壁」と呼ぶ。
  • 基礎控除額を増やせば、働く人の手取りは増える。第一生命経済研究所が会社勤めの夫を持つパートタイマーの女性のケースを試算したところ、年収120万円なら手取り増は3万円、年収150万円なら4万円、年収200万円では13万円だった。
  • 国民民主党は所得税が課税される基準が上がれば、働き控えの解消につながるとも訴える。この効果を出すには社会保険料に伴う壁の解消や、特定扶養控除の見直しと組み合わせる必要がある。配偶者が会社勤めをしている場合、年収106万円や130万円を超えると社会保険料が発生して手取りが減る。年収がこの水準に近づくと働く時間を抑える人が多い。これらは「106万円の壁」「130万円の壁」と呼ばれる。
  • 厚生労働省はパート労働者が厚生年金に入るための賃金要件をなくし、「106万円の壁」を撤廃する方向で議論を始めた。
  • 19~22歳の学生アルバイトの場合、年収が103万円を超えると扶養する親の所得に適用していた特定扶養控除が外れ、親の手取りが大幅に減る問題もある。「年収の壁」を意識して就業調整をしている学生らが全国に61万人いると推定する。このうち年収100万円未満の学生が9割をしめ、103万円の壁の影響は大きいとみる。特定扶養控除の適用基準を年収180万円まで引き上げ、学生の年収が10万~75万円増えれば個人消費は年間で430億~3190億円増えると試算する。
  • 政府は「103万円の壁」の引き上げによる国と地方の税収減は年7兆~8兆円と試算する。国の所得税の33.1%は地方交付税にあてるため、地方の減収が実質5兆円を超える計算だ。2024年度改正で実現した定額減税と異なり、恒久的な減税となる。財政の信認が揺らげば円安が進行したり、金利が急騰したりするリスクがあるが、一方で、玉木氏は政府の試算ほど税収は減らないとの考えも示している。
  • 必要な財源規模は所得税の非課税枠を現行の103万円からどこまで引き上げるかによって変わる。所得制限などで対象を絞りこむことでも税収減を抑えられる。これからの3党協議で議題となる可能性がある。