バフェット氏「債券投資家」に割高米株回避、漂う警戒
https://www.nikkei.com/paper/article/?b=20241123&ng=DGKKZO84993600S4A121C2ENG000
【コメント】
  • これは昨日掲載された記事ですが、世界の投資家はバフェット氏の判断を参考にしていますので取り上げておきます。
  • バフェット氏はここに来て債券投資を増加させていますが、その理由はただ一つです。「現状の株価は上がりすぎている」ということでしょう。米国債や格付けが高い企業の債権は、現在は金利が高くかつ安全資産(値下がりリスクが非常に低い)です。金利は4%超で、黙っていても毎年4%の金利が入ってくることは魅力かもしれません。株式投資は、上手く投資をすればそれ以上のリターンを得られる可能性があるかもしれませんが、バフェット氏は現状それはなかなか難しいと判断しているようです。
  • では日本人はこれをどう参考にすれば良いのでしょうか?
  • まずバフェット氏と同様の発想で、日本株は上がりすぎているとすれば日本国債に投資するということになりますが、日本国債の金利は約0.5%と低利です。今後の2%程度のインフレを考えると投資対象には不向きと感じます。
  • では米国人と同様に、高金利の米国高格付け債権への投資を選択したくなりますが、日本人はドル円の為替リスクを考慮する必要があります。今後円高になれば、ドルでの金利は入ってきても円環算をすると目減りします(円高が過度になると逆ザヤもあり得ます)。
  • ただインフレ対応の生活防衛という視点で、もし10年単位で放置しても良いお金があれば、高格付けのドル圏企業(あるいは米国債)への高金利投資は一考の余地があると思われます。単純に考えれば、毎年金利分(例:4%)が10年間保証されれば、10年で40%になります(複利で考えるともっと高い率)。ドル円が40%円高になって円ベースでトントンと思えば、150円(現在の為替レート)✖︎0.6(1-0.4)=90円です。2%のインフレ分を考慮すれば、150円✖︎0.8(1-0.4+0.2)=120円です。これをどう判断するかです。
  • 私見を述べれば、日本経済の構造が変化している現況のドル円のキャッシュフローからすると、なかなか相当な円高にはなり難いのではないかと推察はできますがどうでしょうか?(投資は自己責任で!)
【記事概要】
  • 著名投資家ウォーレン・バフェット氏が率いる米投資会社バークシャー・ハザウェイが22年ぶりに「債券投資家」になった。
  • 運用リスク抑制に動くバフェット氏の姿勢は、米国債利回りに比べて異例の割高さを示す米国株相場に対する警鐘と受け止められている。
  • 手元資金のほとんどは換金性の高い短期債の一種、米財務省短期証券(Tビル)だ。Tビル以外の債券投資も合わせると、バークシャーが保有する債券投資額は9月時点で3040億ドルに及び、株式投資額2716億ドルを上回った。ドットコムバブル当時もバフェット氏は債券投資に傾斜していた。2000年には米連邦住宅貸付抵当公社(フレディマック)の株式を全て売却し、売却資金を債券投資に充てていた。
  • 株式と債券のどちらが割高かを測る指標には、企業が稼ぐ年間の1株利益を株価で割った益回りと債券利回りを比較するイールドスプレッドがある。米S&P500種株価指数の予想益回りと米長期金利の差は現在、22年前と同様に株価の割高感を示している。現在、米国の政策金利はなお4.5~4.75%。バフェット氏は割高な株式より無リスクで高い利回りを得られるTビルを選んだもようだ。
  • 8月初旬の短期的な急落を除けば、しばらく調整らしい調整を経験しないまま米国株は長期上昇を続けてきた。発射台が高いだけに「今後10年間の米国株の期待リターンはゼロに近いものかもしれない。バフェット氏もそう考えているのではないか」。米運用会社LRTキャピタル・マネジメントの創業者ウーカシュ・トミチ氏は推察する。
  • バフェット氏は短期的な相場予想はしない。ただしバークシャーの22年ぶりの債券シフトは、米株相場の先行き警戒感を色濃くにじませている。