ユニコーン予備軍14社 五常やティアフォー躍進 海外マネー吸引カギ
https://www.nikkei.com/paper/article/?b=20241207&ng=DGKKZO85315130X01C24A2MM8000
【コメント】
未上場企業を育成する力に欠けることが日本の弱点と思われます。
育成には資金力が必須ですが、国内のベンチャーキャップファンド(VC)の投資額は米国の100分の1だそうです。成長可能性を見極める技術の目利き力も弱く、海外のVCに頼ることが必須となってしまっているようです。
日本のユニコーン企業(未上場だが推計企業価値が10億ドル(約1500億円)以上で、投資家から高い評価を受けるスタートアップ)は一桁社。一方、米国が676社、中国が164社、インドが71社だそうです。これでは日本の経済成長には大きな不安がありますね。
キラリと光る技術力は国内にも存在するようですので、これを上手く発掘し事業化することが必須です。しかし、このままでは海外VCに占拠されてしまう恐れもあります。日本の優秀な人財が海外に流出してしまう原因が、ここにもあると思われます。
日本人はこれまで「投資よりも貯蓄」の意識が強く、元本回収が一般の投資よりも更に不安定なVC投資ファンドに資金を拠出することはまだまだ苦手だと感じます。当面、日本人が「貯蓄から投資」の意識が高まるまでの間、インキュベーション投資は国家レベルで推進していくことが必要と感じますがどうでしょうか?
【記事概要】
企業価値が10億ドル(約1500億円)以上のユニコーンに成長する可能性が高い企業が2024年に14社となったことが日本経済新聞社の調査でわかった。
17年の調査開始以降最多となったが、政府が将来目標に掲げるユニコーン100社に向けては足踏みしている。
国内の未上場企業132社について、上場企業の時価総額に相当する9月末時点の価値を独自に算出した。
ユニコーンに到達済みの企業数は5社で前年と同じだった。生成AI(人工知能)開発のサカナAI(東京・港)が、創業から1年ほどでユニコーン入りした。
ユニコーンやユニコーン予備軍となった企業の中では海外から資金調達した企業が目立つ。
日本のユニコーン企業数は海外と比べて少ない。米CBインサイツによると、24年9月時点では米国が676社、中国が164社、インドが71社に対し、日本は1桁にとどまる。
成長期のスタートアップを支える国内の投資マネーの乏しさが、ユニコーンが増えない一因となっている。
政府は22年に策定した「スタートアップ育成5カ年計画」の中で、当時で年間8000億円だった国内スタートアップへの投資額を27年度に10兆円規模に増やす目標を掲げた。ただ、24年も投資額は7000億~8000億円にとどまる見込みだ。
スタートアップへの投資家としては国内や海外のベンチャーキャピタル(VC)や事業会社などがある。投資が増えない背景の一つには、国内のVCの資金力の弱さがある。
ベンチャーエンタープライズセンター(東京・千代田)によると、23年度の国内VCが組成したファンドの投資額は2669億円だった。米国のVC投資額の約100分の1にとどまる。
国内VCは「目利き力」にも課題を残す。海外VCに比べて科学技術の専門知識や起業経験を持つ人材が少なく、大学などに埋もれる革新的な技術を発掘したり、事業立ち上げに向けた実践的な助言をしたりする力がまだ弱い。国内VCからのマネー供給が不足するなか、海外からの資金調達の重みは増している。