テスラ株価1兆ドルの新地平 「CASE」時代総取り
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUB03BD60T01C24A2000000/
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【コメント】
- 「CASE(コネクテッド、自動運転、シェアリング、電動化)」は、2016年9月に開催されたパリモーターショーでダイムラーAGのディーター・ツェッチェ氏が提唱した造語で、提唱されて8年になります。
- この8年の間、世界で圧倒的な地位を確立したのはテスラです。提唱したダイムラー(ベンツなど)を始め他の先進国の既存メーカーは苦戦を強いられています。
- トランプ氏は政策で化石燃料を推進する計画ですが、これは「電気を作る原料」のことを言っており、「電気を使う自動車」には影響がありません(ガソリン代が下がることは既存車にはプラスかもしれませんが)。トランプ氏は一方で「自動運転に関する規制」をさらに緩和する政策を打ち出す可能性があります。
- これが自動運転で先行するテスラの追い風になるとの視点で、最近テスラの株価が爆上げしています(PER170倍)。テスラの時価総額は1.3兆ドルとトヨタの5倍近い。トヨタやホンダ、日産、独フォルクス・ワーゲン、米GM、フォードなど大手10グループの合計の2倍に相当するそうです!
- テスラの高度運転支援システムのフルセルフドライビング(FSD)は、頻繁に自動的に更新、機能が向上して、今では目的地を入力すれば「ほぼ自動」で運転してくれるようです。自動運転が実用化したとき、機構が複雑なガソリン車に対しEVは有利になることは明らかだと思います。
- 日本の規制緩和の過度な慎重さが、産業発展の足枷になっていなければ良いのですが。
【記事概要】
- ガソリン車とEVは共存が続くのか。EVが1回の充電で1000キロメートル走るようになり、価格でもガソリン車より安くなったら。自動運転が実用化したとき、機構が複雑なガソリン車とEVでは性能に開きが出る。消費者はどちらを選ぶのか。
- 「ロボタクシーは1年で3万ドル(約450万円)を稼ぐ」。テスラの創業者、イーロン・マスク氏が言い放ったのは2019年4月にさかのぼる。マスク氏の大言壮語は今も実現していないが、10月にはハンドルやペダルのない新型車「サイバーキャブ」を発表した。価格は3万ドルを下回り、オーナーが乗っていない間は自動運転タクシーとして収益を上げるという。
- テスラによると24年7〜9月、自動運転を利用した場合の「1件の衝突が発生するまでの走行距離」は700万マイル(1126万キロメートル)を超えた。これは米国平均(67万マイル)の10倍以上だ。
- テスラは常々、人間の脳より反応が速く、360度を見渡せ、集中力が途切れない人工知能(AI)のほうが安全性が高まると主張してきた。自動運転の性能が一般的な人間の運転技術を上回る日は近づいている。「CASE(コネクテッド、自動運転、シェアリング、電動化)」での先行は疑いようがない。
- 何より株式市場が評価している。トランプ氏が再選を決めた米大統領選以降、テスラの株価が急騰した背景には規制緩和が進むとの期待がある。テスラ株は11日に最高値を更新した。
- テスラの時価総額は1.3兆ドルとトヨタの5倍近い。トヨタやホンダ、日産、独フォルクス・ワーゲン、米GM、フォードなど大手10グループの合計の2倍に相当する。
- 日経ヴェリタスが自動車関連企業の株価収益率(PER)を調べたところ、テスラのPERは170倍を超える一方、トヨタは10倍、ホンダは6倍にとどまる。テスラはEVメーカーであると同時に、自動運転のプラットフォーマーになり得る「ベンチャー」でもあると株式市場はみる。
- テスラの車は「スマホと似ている」「テスラのソフトウェアはスマホより多くのアップデートを受けている」。アップデートの象徴が、テスラが強みとする高度運転支援システムのフルセルフドライビング(FSD)だ。自動的に更新され、機能が向上していく。今では目的地を入力すれば「ほぼ自動」で運転してくれる。ニューヨークからフロリダ州まで走行したときには、道のりの92%くらいは自動走行してくれている感覚。
- 11月21日、テスラは自動運転タクシーの試作車「サイバーキャブ」を初めて一般公開した。運転席にはパネルしかなく、ステアリングホイールもない。非接触充電を想定しており、充電プラグも存在しない。テスラはサイバーキャブを26年から生産する計画だ。それに先駆け、25年には既存のEVに機能を大幅に強化した自動運転を導入する。月額99ドル(約1万5000円)のFSDは、今後、付加価値が大きく高まる。
- テスラの炭素クレジットの販売収入は24年7〜9月期に7億ドルを超え、新型モデルYの発売も間近とされる。FSDなどサービス収入も伸びている。経営は安定感を増している。ただ、200倍に迫る株価収益率(PER)を正当化するのは自動運転への期待だ。マスク氏は9日もX(旧ツイッター)に「何千万台もの運転手のいないテスラに年中無休で乗れるようになるだろう」と投稿した。株式市場が織り込みつつあるのは、テスラ車が無人タクシーとして収益を上げ、オーナーとテスラが分け合う未来だ。