闇バイトに「仮装身分捜査」 トクリュウ摘発、攻めの一手  乱用防止へ透明性課題 政府、緊急対策を決定
https://www.nikkei.com/paper/article/?b=20241218&ng=DGKKZO85534660X11C24A2CM0000
【コメント】
  • 政治資金問題や103万円の壁問題、ガソリンや電気料金、能登半島支援対応の補正予算は重要な検討事項ですが、最近急激に被害が増加している闇バイト対策も緊急性のある重要問題です。
  • SNSで実行犯を募る事案は、もはや従来の操作方法では撲滅することは難しいと感じます。仮想身分捜査や、SNSやバイト募集各社に掲載適否を徹底的にレビューさせるなどの規制強化は必須です。
  • 記事にも記載されていますが、国民の体感治安が悪化していることはどなたも感じていると思います。「安全な国」という日本の特徴は絶対に維持すべきです。
【記事概要】
  • SNSを通じ犯罪の実行役を集める「闇バイト」対策として、警察庁は捜査員が身分を偽り犯罪グループと接触する「仮装身分捜査」を導入する。身分証を偽造する違法行為を伴うが、匿名性が高い組織の解明に向け踏み込んだ勝負手が必要と判断した。同様の捜査で先行する海外は乱用防止にも重きを置く。運用には透明性も求められる。
  • 政府は17日の犯罪対策閣僚会議で闇バイト問題の緊急対策をまとめた。「現行法の範囲内で実施可能な仮装身分捜査のあり方を検討し、ガイドラインなどで明確化した上で早期に実施する」と明記した。
  • 仮装身分捜査は捜査員が架空の身分証明書を使ってSNS上の「闇バイト」に応募する。他の実行役と接触したうえ、強盗事件を起こす前に強盗予備罪などで摘発する流れを想定する。被害の発生を防ぎ、実行役の供述から上部組織の解明を進める狙いがある。
  • 仮装身分捜査は警察官の立場を隠す手法はおとり捜査と同じだが、運転免許証といった身分証明書の偽造を伴う点が異なる。公的証明書の偽造は刑法の公文書偽造といった罪に当たることもあり、警察では取り入れてこなかった。強大な警察権による人権侵害が横行した戦前を教訓として、抑制的な警察活動を続けてきた面もある。
  • 手法を転換させる背景にはSNSを通じ離合集散する「匿名・流動型犯罪グループ(トクリュウ)」の猛威がある。首都圏を中心に連続強盗事件が発生し、国民の体感治安が悪化した。実行役の多くは闇バイトで集められていた。
  • 仮装身分捜査は犯罪組織に接近できる利点がある一方、野放図に実施されれば捜査機関による違法行為が広がりかねない。捜査員が身の危険にさらされるリスクも増す。このため法令やガイドラインで運用基準を定めている国が多い。
  • 仮装身分捜査の可否を検討する場合について警察幹部は「犯罪グループと接触する必要性や緊急性に加え、被害が発生しないよう万全の捜査態勢を整えられるかどうか慎重な判断が求められる」とみる。
  • 東京都立大の星周一郎教授(刑法)は「闇バイトが絡む事件は従来の捜査手法では対応しきれない側面がある」と指摘する。「実施にあたっては公安委員会など第三者による承認や公判での妥当性の検証といった乱用を防ぐ仕組みも重要だ」と強調した。