NYダウ1100ドル安 10日続落、「タカ派的利下げ」に失望
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGN18ERX0Y4A211C2000000/
【コメント】
  • FRBの利下げと経済見通しを受け、米国株式市場は大幅に反落しました。
  • 今回の利下げは0.25%で予想通りでしたが、来年度の利下げは市場予想の4回から2回程度になり、FF金利水準は従来予想の3.4%から3.9%に、また26年度以降も従来のFRBの想定よりも高い金利見通しを公表しました。
  • これは、「米国経済は予想以上に強い」ということでインフレ懸念が払拭できていないことによります。
  • FRBは24年の実質GDPの見通しを読み間違え、従来2.0%だったものを2.5%に上方修正しています。
  • この金利高止まり見通しを受け、米国株式市場は大幅に反落しました。
  • またドル円レートも、ドル金利が従来予想よりも高止まりする予想を受け、ドル高円安傾向になっています。
【記事概要】
  • 米連邦準備理事会(FRB)が18日の米連邦公開市場委員会(FOMC)で2025年の利下げをより慎重に進める「タカ派」姿勢を鮮明にしたことで、同日の米金融市場では米金利上昇とドル高・円安が進んだ。ダウ工業株30種平均は前日比1123ドル(2.6%)安になり、50年ぶりの10日続落となった。
  • 18日の米債券市場ではFOMCの結果公表後、幅広い年限で国債利回りが上昇(債券価格は下落)した。米長期金利の指標になる10年物国債利回りは一時4.5%程度と約1カ月ぶりの高水準を付けた。ニューヨーク外国為替市場では対ドルの円相場が下落し、一時1ドル=154円70銭台と約1カ月ぶりの円安・ドル高水準になった。
  • 米株式市場では金利上昇が勢い付いたのにあわせて売り圧力が強まった。ダウ平均はFOMCの結果公表前に前日比150ドルほど上げて推移していたが、その後にマイナス圏に沈んだ。終値は4万2326ドルと米大統領選のあった11月5日以来の安値になった。1日の下げ幅は今年最大で、2022年9月以来2年3カ月ぶりの大きさだった。
  • ダウ平均は12月4日に終値で初の4万5000ドル台を付けた後に下げ続け、1974年10月以来の10日続落を記録した。この間に計2687ドル(6%)下落した。前日までは構成銘柄の1つの医療保険大手ユナイテッドヘルス・グループの株価急落というやや特殊な事情が下げの主因だったが、この日はより広範囲な銘柄に売りが広がった。
  • 機関投資家が参照するS&P500種株価指数は3%安、ハイテク株中心のナスダック総合株価指数も3.6%安と大幅安になった。個別株では電気自動車(EV)大手のテスラ株が8%安と急落したほか、金融大手のアメリカン・エキスプレスゴールドマン・サックスがそれぞれ4%以上下げるなど、これまで堅調だった銘柄の下げが目立った。
  • FRBは同日のFOMCで市場の事前予想通りに3会合連続となる利下げ実施を決めた。そのうえで四半期に一度のFOMC参加者による経済見通しを更新し、2025年末の政策金利は現在より0.5%低くなるとの予測(中央値)を示した。1回あたり0.25%の利下げを2回実施する計算だ。
  • 前回9月時点の予測(同4回)より政策金利を高く保つ姿勢を打ち出した。米金利先物市場ではFOMC前の時点で来年2〜3回の利下げ予想が多かったが、その下限に近い慎重な利下げシナリオを示したといえる。足元でインフレが高止まりの兆しをみせ、雇用の下支えを狙った利下げに以前より踏み出しにくくなっているためだ。
  • 米運用会社ブランディワイン・グローバル・インベストメント・マネジメントのジャック・マッキンタイア氏は、この日の利下げ実施と今後のペース鈍化の組み合わせを「タカ派的な利下げだ」と指摘した。市場では次回の25年1月の会合でFRBが利下げを見送るとの観測が強まっている。同氏は次の利下げ実施までの一時停止の期間が長引くほど「政策の不透明感が増し、25年の金融市場をより不安定にするだろう」とみる。