USスチール、日鉄による買収不成立なら「米国は敗北」
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGN2900I0Z21C24A2000000/
【コメント】
  • 日本製鉄によるUSスチールの買収がバイデン大統領に一任されています。バイデン大統領は来年1月7日までに結論を出す必要があリます。
  • USスチールは日本製鉄の買収を歓迎していますが、全米鉄鋼労働組合(USW)が一貫して反対しています。
  • USスチールの業績は低下しており、このまま独立した経営を続ければ、中国からの安価な鋼材輸出により早晩リストラの嵐になっていく可能性があるかもしれません。ただ、トランプ新大統領は、中国からの輸入品に対し関税強化を行う意向を強く示しており、これがUSスチールの経営を守る効果があるかもしれません。
  • 中国はかねてから経済成長を見越して鉄鋼産業を拡大されてきましたが、最近の不動産不況により供給過多になり値崩れが続いています。この安価な鋼材が安価なEV輸出にも一部寄与しているものと考えられます。
  • 日本製鉄は、日本の自動車産業が競争力を失いかけていることや人口減少による国内需要の減少が予測されることに加え、トランプ新大統領による高関税政策への対応する必要があることにより、USスチールを買収し米国内での生産を強化する必要があります。
  • あと約一週間で、バイデン大統領は明確な結論を出すのでしょうか?
【記事概要】
  • 米鉄鋼大手USスチールは28日までに、日本製鉄による買収が不成立となれば、米国の鉄鋼業は拡大する中国の脅威に対抗できず「米国は敗北する」との声明を出した。米国に投資と雇用をもたらす買収の正当性を改めて訴えた。バイデン米大統領は2025年1月7日までに買収を承認するかどうかを判断する見通し。
  • 声明は27日付。USスチールは「日鉄による買収は中国の脅威に対抗し、米国の鉄鋼業が競争力を強化できる唯一の手段だ」と強調した。日鉄が提案する投資や雇用創出の計画を引用し、従業員に雇用の安定と利益をもたらすと改めて訴えた。
  • 買収を巡ってはUSスチールのデビッド・ブリット最高経営責任者(CEO)も22日に米紙に寄稿し、買収の失敗は中国の支配力を強めるだけだと訴えていた。
  • 日鉄による買収は全米鉄鋼労働組合(USW)が一貫して反対している。USW執行部と関係が深い米鉄鋼大手クリーブランド・クリフスの影響力もあるとされる。
  • USスチールはUSWが買収を妨害していると批判。「買収が不成立となれば、喜ぶのは(USWの)デービッド・マッコール会長とクリーブランド・クリフス、そして北京(中国)だけだ。米国は敗北する」と強い口調で買収の意義を訴えた。
  • 日鉄による買収を巡っては安全保障上の審査を担う対米外投資委員会(CFIUS)が最終決定をバイデン氏に委ねた。米司法省による競争法上の審査も継続中だ。日鉄は26日、24年12月までとしていた買収完了時期を25年3月までに変更した。