【コメント】
  • 中国の商品化速度が世界の中で群を抜いて早いという記事です。
  • 太陽電池やリチウムイオン電池、電気自動車(EV)はいずれも日本が先行していた技術ですが、今や中国がダントツのシェアです。
  • 次はグリーン水素が危うい状況になっているそうです。水素技術も日本が相当先行していましたが、今や商品化では遅れをとり始めています。記事にはありませんが、曲がる太陽光パネルのペロブスカイトも日本先行でしたが危うい状況です。
  • 日本の厳格な規制や政府が実行面まで管理してしまう日本の方策に大きな問題点があると思われます。
【記事概要】
  • 中国には産業育成やインフラ建設の猛烈なスピードを指す「中国速度」という言葉がある。年初に訪れた広東省深圳市でもその光景を見ることができた。
  • 高層ビルの合間を小型の段ボールを抱えたドローンが行き交い、公園内の配送スポットで家族連れが次々と楽しそうに有名チェーンの食べ物やドリンクをドローンから受け取っていた。ドローンを使って低空域で展開される経済活動を意味する「低空経済」という概念が国家の戦略性新興産業に指定されたのは2023年末。あっという間にサービスの具体化が進んだ。
  • 日本はそんな中国速度に何度も苦い思いをさせられてきた。中国の「三種の神器」となった太陽電池やリチウムイオン電池、電気自動車(EV)はいずれも日本が先行した技術だが、気がつけば後発の中国にあっさりと世界市場を奪われた。
  • そして今、日本が譲れないはずの重要分野が再び中国に脅かされている。日本が世界に先駆けて提案してきた水素社会の創出だ。中国は22年の国家戦略などを背景に爆発的に投資が拡大し「つくる」「運ぶ」「ためる」「使う」というサプライチェーン全般で一気に実用段階に突入した。エネルギー情報会社のライスタッド・エナジーの推計によると、再生可能エネルギーで製造するグリーン水素の24年の生産能力は中国が22万トンと世界の過半を占める。水素をつくる電解装置は低価格を売りにした輸出も始まり、早くも「第四の神器」との声もある。
  • 日本の産業政策は国が企業を管理する「調整型」の性格が強い。「日の丸連合」は代表的な形態だ。資源を集中しやすい半面、競争が少なく、既存の知見が基盤で未知の可能性の追求が制約される側面がある。
  • 中国の産業政策は逆を行く。ときに無理筋にもみえる目標を掲げる「ビジョン型」だが実際の産業形成は「自由放任型」というハイブリッドだ。国家が保証する新たなパイに企業が殺到し「バトルロワイヤル」を展開する。ムダや問題も多いがスピードは速くイノベーションも生まれやすい。
  • 米国も国家資本主義に傾く。人工知能(AI)や量子、半導体――。いずれも国家の産業政策力を問う競争だ。まずは限界を迎えた従来型政策を変える「日本速度」が試される。失敗を繰り返している余裕はない。