第2次トランプ政権始動 経済・外交で大転換  パリ協定・WHO離脱 カナダ・メキシコには「来月25%関税」
https://www.nikkei.com/paper/article/?b=20250122&ng=DGKKZO86216930S5A120C2MM8000
【コメント】
  • 今朝の日経朝刊は、第2次トランプ政権の報道が満載です。日本の政権交代ではないのにこれほどまでに取り上げられるのは、世界秩序への影響がかなり大きいからだと感じます。
  • 軍事力と経済力が強大な米国は、これまでの資本主義/自由主義を統治する役割を第2次トランプ政権により放棄し、自国第一主義を鮮明にしています。
  • 環境問題への取組み放棄やIT企業の擁護(デジタル課税に反対)、そして高関税政策。米国の巨大資本家の利益を擁護する政策が行われようとしているように見えます。
  • 日本は、常識的と思われるバイデン氏の政策に追随し政策運営を進めてきましたが、石破首相はトランプ政権と対峙するのか?迎合するのか?。要注目です。
【記事概要】
  • 共和党のドナルド・トランプ氏が20日、第47代米国大統領に就任し、第2次トランプ政権が始動した。記録的な数の大統領令に署名し、国際協調の枠組みからの脱退や化石燃料採掘の加速などバイデン前政権からの政策転換を打ち出した。
  • 「米国の黄金時代がいま始まる」。トランプ氏は連邦議会議事堂での就任演説でこう切り出した。「毎日が米国第一」と語り、政策の大転換を訴えた。
  • 就任式後に大量の大統領令に署名した。20日深夜までに少なくとも40本超の文書に署名した。就任初日の署名数としては戦後最多となる。
  • 「米国の主権を取り戻す」との掛け声のもと、気候変動対策の国際枠組み「パリ協定」と世界保健機関(WHO)からの離脱を命じた。
  • 貿易赤字の原因やリスクを調べて、赤字を是正するための世界規模の追加関税などの措置を勧告するよう求めた。貿易に絡む関税やその他の税収を徴収するための外国歳入庁(ERS)の設立も明記した。即時の関税引き上げは盛り込まなかったものの、トランプ氏は記者団にカナダとメキシコに対し2月1日に25%の関税をかける可能性があると表明した。一方、即時の対中関税には触れず、選挙で公約していた全世界一律10~20%の追加関税も「まだ準備ができていない」と述べるにとどめた。貿易に関する大統領令には日本への言及はなかった。
  • トランプ氏はバイデン前大統領が署名したおよそ80本の大統領令をすべて取り消すための大統領令に署名した。30年までに新車販売の半数を電気自動車(EV)などとする目標や人工知能(AI)の安全性確保に向けた大統領令が取り消しの対象になった。
  • 「国家エネルギー緊急事態宣言」を出し、国内に眠る化石燃料の採掘などを「あらゆる権限を使って」進めるよう政府各機関に命じた。別の大統領令では「グリーンニューディール」と呼ばれるバイデン前政権の環境関連政策を廃止した。前政権下で制限されていた液化天然ガス(LNG)の輸出プロジェクトの承認を迅速に進めるようエネルギー長官に命じた。
  • 「表現の自由の回復」と称して誤情報・偽情報対策を廃止する大統領令にも署名した。大統領令に反するバイデン前政権の措置を調査するよう司法長官に命じた。
  • トランプ政権が打ち出した政策転換の影響は米国内だけにとどまらない。パリ協定やWHOからの離脱は国際協調に打撃だ。関税引き上げが広がれば、多くの企業はサプライチェーン(供給網)の見直しを迫られる。
  • 日本政府が進めるグリーントランスフォーメーション(GX)関連政策は前政権の影響を受けていた。日本をはじめとする各国の環境政策にも影響を及ぼしそうだ。大統領令では貿易赤字の是正をめざす姿勢を強調しており、日本に注文が付く可能性もある。