金利0.5%の重み(3)遠い財政再建、日銀頼み限界 国債利払い負担、5割増も
https://www.nikkei.com/paper/article/?b=20250130&ng=DGKKZO86391000Z20C25A1EE9000
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【コメント】
- これまで何度も記事化されている日本の国債問題です。
- 日本国の借金は先進国の中でも突出しており、金利上昇の影響で国の利払い費用が増加傾向です。過去に発行済みの低金利の国債が償還されていき、金利上昇の中で発行されていく国債の割合が増加するに連れ利払い費用増加問題は更に深刻化します。
- 日銀は金融政策正常化により今後はこれまでのような国債の買い入れには消極的になり、新規国債の消化リスクが顕在化してくれば、利払い費用増加問題と相まって日本国債が格下げとなり日本企業の格付けも連動して下がっていきます。こうなると「日本株式会社」の資金調達力が低下し競争力がますます劣化します。
- 何度かコメントしていますが、各党による国民の人気取り政策のツケが日本国を破綻へと導く懸念があります。各党は国民に現状をきちんと理解してもらう努力を行い、国や地方自治体の大胆な構造改革を行うことを前提に真に必要支出に絞り込むとともに、増税も断行する必要があると思います。
- 金融政策正常化への転換点の今、大胆に実行すべきかと思います。
【記事概要】
- 「このままだと日本国債が格下げされかねない」。財務省の元幹部は危機感をあらわにする。2024年12月に成立した24年度補正予算は一般会計で13.9兆円の歳出となった。新たに6.7兆円の国債を追加発行し、財源の5割弱を賄う。新型コロナウイルス感染症が収束したにもかかわらず、コロナ禍前の19年度補正予算の4倍以上の規模で、財政は平時に戻っていない。「物価高に対する国民の不満が強まっているのに、物価を押し上げる要因になる」(日銀関係者)
- 政策金利は過去30年で最高到達点となる0.5%となった。「過去20年程度、利払い費は年7兆~8兆円程度と低く推移してきたが、注意を払わなければならなくなった」。財務省幹部はこう話す。財務省の試算によると、物価上昇率が2%で推移するなど成長が続く場合、政府の国債利払い費は28年度に16.1兆円に達する。25年度当初予算案から5割増の水準だ。
- 政府の国債の金利負担が少なくてすむ状態は日本国債の格付けを支える材料の一つだった。内閣府によると、国と地方の基礎的財政収支(プライマリーバランス、PB)の25年度の見通し(GDP比)はマイナス0.7%。
- 「債務残高のGDP比は海外と比べ突出しており、このままでは今後国債が格下げされてもおかしくない」
- 日銀は24年6月の金融政策決定会合で量的引き締め(QT)の方針を決め、8月から国債買い入れ額を減らし始めた。発行済み国債の過半を保有する日銀に代わる担い手と目されるのは銀行だが、金融規制の縛りで保有余力に限りがある。財政運営の前提となる安定消化が危ぶまれれば国債の信認が揺らぎ、格下げリスクにつながる。財務省は銀行が国債を受け入れやすくなるよう金利変動リスクを抑えて買える仕組みを導入するほか家計も国債の担い手に引き込もうとしている。石破首相は25年1月24日の施政方針演説で、「今年の骨太の方針(経済財政運営と改革の基本方針)で今後の財政健全化に向けた取り組みを示す」と表明した。利上げ局面に入り、日銀が保有国債の減額に動き出した以上、長期金利が上昇するのは自然な姿だ。財政運営は新たな局面に入る。