「ROE革命」来るか バフェット氏も重視、株高持続のカギ
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOCD277LB0X20C25A1000000/
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【コメント】
- 今朝は朝刊休刊日です。
- 日経ネットに、改めてROE(自己資本利益率)の重要性を簡単に解説した記事があったので取り上げました。
- ROEは当期純利益÷自己資本(株主のお金)です。自己資本を如何に効率的に活用し利益を上げているかを測る指標です。まさに株主の視点に立った経営指標です。
- 最近トヨタ自動車がROEを20%に引き上げる目標を掲げました。日本企業のROEはだいたい10%弱で米国企業は20%程度ですので、米国並みの資本効率を目指すという意味だと思います。
- 米国全体を見ると、ITやソフトウエア関連の企業が強く、これらの企業は製造業に比べて少ない資本で運営できる特徴があることも高ROEにつながっていると思われます。また米国は徹底した競争社会なので、日本と違い低収益企業はすぐに市場からの退場を促される点もROEが高い理由です。
- 日米で資本効率が2倍も違うことが、株価レベルが大きく異なる主因ですので、日本企業は更に効率的な経営を推進していく必要があります。さもなくば、個人も含めた日本の投資家の資金はますます米国に流れていってしまいます。
【記事概要】
- ROE(自己資本利益率)。株主から託された資本を元手にどれだけ多く利益を上げているかを示す。その低さが日本株低迷の理由とされてきたが、ガバナンス改革もあり改善へ向けた変化がある。踏み込んだ効率化と成長戦略で「ROE革命」を本物にし、市場に活気を呼び込めるか。
- トヨタ自動車が20%をROEの目標に掲げる――。昨年12月に伝わったこのニュースは国内外から関心を集めた。
- 「安定と継続」を優先しがちだったこれまでの考え方を振りほどき、もっと資本市場を意識して「効率と成長」を目指す経営へ脱皮する。それをトヨタ自動車がリードすると受け止められたからだ。
- ROEは当期純利益を自己資本で割った数値だ。東京証券取引所が上場企業に対し、株価を意識した経営を要請したのが2023年。そこから自社株買いや配当の増額が加速した。膨らんだ分母を絞る意味では前進といえる。
- しかし大事なのは分子を増やし続ける経営だ。付加価値の高い事業を切り開くには研究開発や新規投資が欠かせない。人への投資も大事だ。低収益の事業は思い切って手放し、強みのある事業で成長を目指す「選択と集中」が必要になる。持ち合い株が売られ、M&A(合併・買収)が日本でも日常になってきた。
日本企業はなぜ低い?
- 企業分析ではROEを3つに分解する。本業の利益率が高いか(事業マージン)、保有資産を効率よく使って売り上げに結びつけているか(総資産回転率)、借入金も使って事業を大きくしているか(財務レバレッジ)だ。米欧に比べて日本が低いのは事業マージン。低採算の事業にしがみつかず、いかに高収益の事業を育て成長できるかが最大の課題だ。
及第点は何%?
- 株式市場ではROEが8%を超えると、ROEが高まるほどPBR(株価純資産倍率)も上昇する相関関係を観察できる。1つの目安とはいえるが、むしろ出発点。より高いROEを目指し、かつ長く持続させる経営が大事だ。自社株買いばかりで、本業に競争力がなければ細っていく。戦略的に資本を配分して稼ぐ力を上げる不断の努力が欠かせない。
米企業が高ROEの理由は?
- 米主要企業のROEは20%近く。10%弱で足踏みの日本の2倍だ。巨大IT(情報技術)企業が、高い利益成長をリードする。研究開発や新規投資を常に競い、余計な資本を抱え込むことも避ける。デジタル分野は資本が少なくてすむ点も指摘できる。産業の新陳代謝が活発で、低収益の企業は買収の対象になるなど経営の停滞を許さないのが米国市場だ。