経済界代表訪中、新たな「互恵」難路 薄れる日本の重要度
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUA141U50U5A210C2000000/
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【コメント】
- 中国と日本の関係が変わってきています。
- 日本は中国に対する輸出依存度は高まっているが、逆に中国からすると日本への依存度は相当に低下しているようです。
- GDPで日中の規模差を見ると4倍もの開きができてしまっています。大変残念ですが、経済という観点では、もはや日本は中国にとって重要性が低い位置付けになってしまっています。
- ただ、中国人にとって日本の風土や民度は憧れのようで、観光に限らず住みたいという需要が年々高まっていうことも事実です。
- 経済規模を回復することも重要なテーマですが、日本人の気遣いや清潔感を維持していくことが潜在的な日本の価値を保っていく重要な要素であると思います。
【記事概要】
- 日中経済協会と経団連、日本商工会議所の代表団は16日、中国を訪れた。日本の貿易総額に占める対中国の割合は20%と高い水準が続くが、中国の日本への依存度は5%に下がった。2国の経済関係は過去と大きく異なる。新たな「互恵」関係の構築は難易度が高い。
- 「戦略的互恵関係の包括的推進という大きな方向性に基づき、首脳間を含むあらゆるレベルで中国との意思疎通を図る」。石破茂首相は1月の施政方針演説でこう述べた。今回の財界訪中には石破首相が言及する早期訪中に向けた機運醸成の意味がある。
- 戦略的互恵関係は06年に当時の安倍晋三首相と胡錦濤(フー・ジンタオ)国家主席の首脳会談で打ち出した概念だ。18年以降の首脳会談では途絶えたが、23年の岸田文雄首相と習近平(シー・ジンピン)国家主席の会談で6年ぶりに復活し、石破首相も継承した。
- この20年間で日中両国の経済関係は様変わりした。
- 日本にとって中国は最も重要な貿易相手国だ。日本の貿易総額に占める対中国の割合は00年代に10%台に上昇し、05年には17%になった。09年に20%台になり、23年も20%を維持する。戦略的互恵関係を打ち出した翌年の07年に中国が米国を抜いて日本の貿易相手国の首位になり、現在まで続く。
- 中国側からみると貿易面で日本の重要度はそこまで高くない。
- 中国の貿易総額のうち対日本の割合は05年に13%で日本と大きな差はなかった。中国は10年に日本を国内総生産(GDP)で逆転し、広域経済圏構想「一帯一路」に乗り出した。現在の貿易額のうち対日本は23年に5%まで落ちた。日中の比率の差は4倍に開いた。
- 日本の財界はかねて中国との「相互補完」を掲げるが、相対的に日本の対中依存が強まっている。
- かつては経済的な結びつきが政治的な課題を乗り越える要素だった。1989年の天安門事件後には斎藤英四郎・経団連会長らが訪中し、中国側が円借款供与の凍結解除を持ちかけた。首相の靖国神社参拝を巡って日中関係が冷え込んだ2005年には奥田碩・経団連会長が胡錦濤国家主席と極秘に会談した。
- 今や中国のGDPは日本の4倍を超える。経団連幹部は「一昔前のような『政冷経熱』というわけにはいかない」と話す。日本経済の存在感が相対的に低下する中、日中関係は安全保障や国際情勢の変化に左右されやすくなっている。
- トランプ米大統領の再登板で、関税を手段にした米中対立が一層激しくなる恐れがある。国内経済が低調な中国にとっては日本からの投資を呼び込みたい思惑が働くものの、日本企業にとっては米中対立に巻き込まれるリスクがある。反スパイ法の不透明な運用なども懸念材料だ。
- 日中経済協会の資料によると、日本の対中直接投資の実行額は23年に39億ドル(約5950億円)で前年から15%減った。ピークの12年(73.5億ドル)から半分近くに減り、24年も23年を下回るペースだという。
- 石破首相は日本の対米投資を1兆ドルに引き上げるとトランプ氏に約束した。ビジネス環境や成長性などから、日本の経営者の多くは再び米国に関心が傾いている。財界代表団の訪中が、新たな日中関係を切りひらくことができるかが焦点となる。