日本株、しぼむ成長期待 マネーは欧米へ 企業業績、好調続くが…金利上昇が逆風に
https://www.nikkei.com/paper/article/?b=20250223&ng=DGKKZO86923130S5A220C2EA2000
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【コメント】
- 最近の日本株の低調さを受けた解説記事です。
- 海外の多額の投資マネーが日本企業の成長力に懐疑的になっていることが、投資資金が日本から逃避している理由とのことです。
- 足元の業績は良く株主還元で投資家に手厚くリターンの還元も行なっているのになぜ?理由は、成長戦略が見えないからだそうです。足元で日本は欧米と異なり利上げ環境にあり、この利上げを跳ね返す成長期待が持てないというのが投資家の見方です。
- 株主還元は一時的には自己資本の有効活用をするというメッセージにはなリマスが、裏を返せば成長の継続性に疑問符がつくということです。商売のネタが見つけられていないという証ととられているということです。
- 将来の成長期待を示すPERは、米国には大きく水をあけられています。
- 日本企業は、確固たる自信を持ってリスクをとり成長をしていく戦略に打って出なければ、このまま沈みゆくことになりかねません。この日本の危機的状況のかなでの現在の国会議論、何か違う気がしますがどう思われますか?
【記事概要】
- 日本株の成長力に投資家が懐疑の目を向けている。背景にあるのは世界との金利動向の差だ。欧米が利下げ局面にあるなかで日本では金利上昇が逆風。この逆風を打ち返すだけの成長期待がないことが海外投資家を遠ざけている。
- 日本企業の業績は悪化していない。東証プライム市場に上場する3月期決算企業約1000社の25年3月期の純利益は約50兆円と前期比で6%増える見通し。4年連続の最高益で、訪日客向けやエンターテインメント事業が好調なほか、為替の円安効果が押し上げる。
- それでも日本株から海外マネーが引いている理由は何か。一つが日本の金融政策にある。海外を見わたせば、米連邦準備理事会(FRB)と欧州中央銀行(ECB)は利下げ局面に入った。一方、日銀はこの1年で3回利上げし、今後の追加利上げも視野に入る。政策金利引き上げは経済の正常化を示す。ただ金利上昇局面では株式の益回りと金利の差が小さくなることから、株式の相対的な投資魅力が低下し売られやすくなる。日経平均採用銘柄の予想PER(株価収益率)は15倍台で1年前(16倍台)から低下した。欧州の代表的な株価指数のストックス600の14倍台と同水準だが、米国のS&P500種株価指数の22倍を下回る。利益成長に対する市場の期待値が米国に劣後することを示す。米国では長期金利の指標となる米10年債利回りが4.4%台と高止まりするが、テック株への成長期待は強い。
- 企業統治改革への評価ハードルが上がっていることも日本株の上値を重くする。東証は23年、株価や資本効率を意識した経営を呼びかけ、PBRの低い企業に対して改善を要請した。呼応するように、上場企業の自社株買いは24年に約17兆円と前年比7割増えたのに加え、3月期決算企業の24年度の配当総額は約18兆円と4年連続で過去最高となる見通しだ。株主還元は経営陣がお金の使い道を見いだせないゆえに株主に資金を返すことだ。成長期待につながらない還元への評価は厳しい。
- 手元資金を設備投資や合併・買収(M&A)など攻めの投資に振り向ける計画が伴わなければ、市場の評価はついてこない。
- 世界の中での日本株の相対的な地位は年々低下している。世界株の値動きを示すMSCI全世界株指数(ACWI)に組み入れられる銘柄数をみると、10年前は世界の時価総額上位100社4社が入ったが、現在残るのはトヨタ自動車だけだ。世界で競う企業が増えることが、海外勢に日本株が見直されるのには必要になる。
- 企業が株主のお金を使ってどれだけ効率よく利益を稼いでいるかを示す自己資本利益率(ROE)は日本が9%台に対し、米国は20%弱、欧州は12%台だ。「欧米のようにROEを引き上げることができれば、割安株から成長株に脱皮できる」。