首相、退職金課税「見直しを」 「雇用の流動化図る」
https://www.nikkei.com/paper/article/?b=20250306&ng=DGKKZO87146440V00C25A3PD0000
【コメント】
  • 退職金課税優遇措置が国会で議論されたようです。
  • 高度経済成長期には、学校を卒業した人財を社会人として企業が長期間にわたり教育し、一生涯同一企業に勤務することが日本の競争力の源泉になっていました。このような雇用慣行を後押しする制度として退職金課税優遇措置があります。
  • 一方で、一企業内で限りあるマネジメントポジションに就けない優秀な人材が滞留しているという現実もあります。同一企業にとどまる動機の一つにこの退職金課税優遇措置があります。多くの企業は50歳に到達すると退職金の額が激増する仕組みになっています。よって50歳前での転職を躊躇する傾向が少なからずあります。また60歳まで留まり続けると退職金も増加していきます。そして、いざ55歳を過ぎたことから転職活動をしてみると、40歳代と比べると大きく転職条件が悪化していることに気付き、結局サラリーマン人生の最後まで充実感を伴わず、退職金のために同一企業に居続けることになります。
  • 日本の産業が米国に比し停滞している原因は、スタートアップ(中小企業)が成長しないことにあると感じます。
  • 米国はそもそも人財流動化を妨げる退職金制度はなく、日本の退職金に代わる金額は概念的には年俸に包含されています。ですので転職は当たり前のことで、大企業でビジネスマンの基礎を学んだ優秀者はどんどんスタートアップに転職し、新規事業が成長していきます。
  • 日本企業は今でも退職金制度を人財囲い込み戦略の一つとしてみていま企業があります。ただパナソニックなどの一部企業はすでに退職金制度を廃止している例もあります。
  • 日本も退職金課税優遇制度を廃止すれば人財流動化が進むとは思います。しかし狩猟民族(一匹狼で獲物を狩る)ではなく農耕民族(皆で一生同じ村で作物を作って分け合う)のDNAを持つ日本人に適合するのか?を良く検討する必要もある気がします。DNAが入れ替わるには1000年くらいの時間が必要ですし、、、。DNAに合わないことをやり始めると日本が崩壊する気もします。退職金課税優遇措置をどうするかは別として、農耕民族に適したスタートアップ成長制度を確立することが必要かと感じます。
【記事概要】
  • 石破茂首相は5日の参院予算委員会で、同じ会社に長く勤めるほど優遇される退職金課税の見直しに言及した。「拙速にはしないが、慎重なうえに適切な見直しをすべきだ」と述べた。立憲民主党の吉川沙織氏の質問に答えた。首相は「これから先、雇用の流動化は賃金の上昇とあわせて図っていかないといけない」と強調した。政府・与党は2025年度の税制改正で、退職金課税の改正を見送った。26年度の税制改正で議論する方針だ。
  • 現行制度は同じ会社に長く勤めるほど退職金課税の控除額が大きくなる。人材の流動性を高めて多様な働き方を可能にするためには、勤続年数の長さで優遇される仕組みを是正する必要がある。