賃上げ、はや「満額」続出 大企業、人材囲い込み 要求は6.09%、32年ぶり水準
https://www.nikkei.com/paper/article/?b=20250307&ng=DGKKZO87179290X00C25A3EA2000
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【コメント】
- 一昨日くらいからドル円レートがドル安に大きく振れています。現在は147円台で理由は「日銀の利上げ観測が強まった」「トランプ関税で米国景気に懸念」とのことです。いずれにしても日本の輸入物価低下には一定の円高は必要ですが、日本株の下落が懸念されます。
- 今朝の記事で目を引いたのは春闘交渉です。現在の平成バブル期以来の大幅な人手不足を背景に、昨年度を上回る賃上げとなりそうとのことでです。
- 特に中小企業の賃上げ要求率は6.57%で、全国平均の5%を大きく上回っています。ただし、中小企業は企業の利益などのうち人件費に回る割合を示す労働分配率(直近4四半期の移動平均)は70%に達していることから、賃上げを確実に取引価格に転嫁していくことが必須です。
- 現在の日本では、インフレ率を上回る新上げは必須ですが、多くの働き手が貢献している中小企業の賃上げが確実に実施されることがポイントです。
【記事概要】
- 2025年の春季労使交渉で大手企業の経営側からは早期や満額の回答が目立っている。12日の集中回答日を前にした決定が相次ぐ背景には、人材の獲得や囲い込みを進める狙いがある。連合が6日発表した傘下の労働組合が要求した賃上げ率は平均6.09%と、1993年以来32年ぶりに6%を上回っており、賃上げの機運は強い。
- 連合が3日正午時点で2939組合の状況を集計したところ、平均賃上げ要求額は1万9244円と、前年同期比で1638円増えた。賃上げ率の6.09%は前年より0.24ポイント高い水準だ。賃上げは基本給を底上げするベースアップ(ベア)と定期昇給から成る。ベア分が明確にわかる2454組合は、4.51%のベアを求めた。
- 中小企業の要求に限ると賃上げ率は6.57%だった。24年の5.97%を上回る。連合は大企業との間の格差を埋めるため6%以上の賃上げを掲げている。全体平均の5%以上を上回る。
- 深刻な人手不足は企業の賃上げを後押ししている。24年12月の全国企業短期経済観測調査(短観)によると、雇用が「過剰」と答えた企業の割合から「不足」を引いた雇用人員判断指数(DI)の先行きは全規模・全産業でマイナス41。平成バブル期以来の低水準を見込んでいる。
- 賃上げする企業の割合を業種別に見ると、すべての業種で前年度を上回った。賃上げする理由(複数回答)は労働力確保が74.9%でトップだった。賃上げを実施しない割合は13.3%と、前年度を0.6ポイント下回り過去最低を更新した。規模別に見ると中小企業は14.2%で大企業の8.7%を上回った。
- 焦点は賃上げの余力に乏しい中小企業だ。企業の利益などのうち人件費に回る割合を示す労働分配率(直近4四半期の移動平均)を法人企業統計から試算すると、資本金1億円未満の中小企業では24年10~12月期に70%に達している。10億円以上の大企業の37%を大きく上回っている。
- 中小企業の賃上げを広げるには、人件費などのコストを取引価格に転嫁することが欠かせない。連合の芳野友子会長は6日の記者会見で、中小企業の労組に対して「価格転嫁の取り組みをしっかりと交渉の中で確認をしてほしい」と述べた。