相続税、AIが調査 国税当局、申告漏れをスコア化 納税者は準備入念に
https://www.nikkei.com/paper/article/?b=20250317&ng=DGKKZO87386870W5A310C2TCJ000
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【コメント】
- 相続税調査にもAIが導入されるそうです。
- 人口が多く比較的資産を多く保有しているとされている団塊の世代が高齢化してきており、今後大量の相続調査が必要になってくることに備えるためAIを本格導入するとのことです。
- 相続が終わった後の一定期間を経た際に、相続に関連するデータをAIに分析させ調査の要否を三段階に区分し調査の網羅性と正確性を担保するようです。
- 相続財産が5,000万円を超える場合には、調査を受けることを念頭に、関連資料の整備を徹底することがますます重要になってきます。
- ご不安などあれば、お気軽にTakeoffer会計事務所へお尋ねください。併設のTakeoffer法律事務所の弁護士と共に親身にご相談にのらさせていただきます。
【記事概要】
- 国税当局は今年夏から実施する相続税の税務調査などに人工知能(AI)を活用する。相続税の申告書や財産状況が分かる資料などをAIで分析、申告漏れの可能性をスコア化して、調査対象者の選定を行う。
- 具体的には、相続税の申告書や一定規模以上の資産を持つ人が提出する財産債務調書、海外送受金を記録した資料、生命保険の一時金の支払調書、金地金を売却した際の支払調書などをAIで分析する。過去に相続税で申告漏れなどが生じた案件から不正や申告ミスが生じる傾向を見つけ出し、AI分析のためのデータとして活用する。
- 分析結果に基づき、申告漏れのリスクを被相続人(亡くなった人)ごとに1~0の間でスコア化する。1が最もリスクが高く、実際に自宅などの調査を行う優先順位が高い対象となる。分析作業は国税庁が行い、最終的には各地の国税局や税務署の担当者が対象者を選定する。
- 国税庁の担当者は「これまでベテラン職員の経験などに頼っていた部分をデータ化し、AIを活用することで効率的な選定が可能になる。浮いた時間でより深い調査を実施していきたい」と話す。どのような観点でスコア化していくかなどの詳細については「答えられない」としている。
- 国税OBで資産税に詳しい松岡章夫税理士は「AIの活用で国税当局が調査をするかしないかを決める『ふるい』の目が細かくなる。資産規模が数億円以上の富裕層は従前から国税当局も注目しているが、より広く不正やミスが発覚しやすくなるだろう」と解説。「相続税の基礎控除(3000万円+600万円×法定相続人の数)などを考慮すると相続財産が5千万円を超えるような人々が調査対象になるケースが増える可能性がある」と指摘する。
- 全国の国税局などが24年6月までの1年間(2023事務年度)に実施した相続税調査で、実地調査などによる追徴税額は857億円と16事務年度以降で過去最高だった。
- 「国税当局が効率的な調査を実施していく上では必要な施策であり、AIにどのような資料を学習させるかが今後の大きなポイントになる。海外不動産の売買仲介をする企業の顧客リストや、暗号資産(仮想通貨)の口座情報、企業への出資状況が分かる資料など様々な資料を収集し分析していくだろう」とみる。
- 相続人になった場合、どんなことに気をつけるべきか。松岡税理士は「国税当局が膨大な情報を網羅的に収集していく中で、納税者側も入念な準備をするべきだ。相続税は個別性が強く様々な事情が入り込む。一般の傾向と違い不正やミスの可能性があるとAIが分析しても、『実際はこういう事情があり、証拠を示せる』などと国税側を説得できるだけの情報、証拠を集めて保管しておくべきだ」と話した。