【コメント】
- IPO長者がリア充を自慢し合うサロン、、、? 企業を立ち上げ新規株式公開(IPO)を果たし大金を手にし、高級な腕時計や車を自慢し合うことが流行しているようです。
- IPOが目的化しその後の企業価値向上に懸命に取り組む経営者が少ないという現実を記事化しています。短文ですので是非お読みください。
- 日本は世界的レベルのデファクトスタンダードが育たない理由の一つと考えられます。
【記事概要】
- 「本当に成長する起業家は本人から『おカネ』のにおいがしないものだ」。ベテランのファンドマネジャーにそんな話を聞いたことがある。
- 意外な感じがした。しかしそのあとの説明を聞いて、なるほどと納得した。「新規株式公開(IPO)して目の前のおカネを手にすると、満足して生活が金ピカになってしまう経営者が多いんだ」腕時計が変わる。車が変わる。社長室が変わる。もちろん成功者の仲間入りだ。しかし、「本当に世界を相手に大勝負するつもりなら、目先のカネが多少増えることなどそもそも興味がないものだ」。
- ファーストリテーリング創業者の柳井正氏は、上場まもなくまだ小規模だった山口県の本社で、すでに世界の強豪アパレルとどう伍していくか熱く語っていた。キーエンス創業者の滝崎武光氏は上場後も「社用車なし・接待なし・ゴルフなし」を徹底したという。それは開発研究に全力を注いで世界で勝つためだ。
- ただ今のIPOからみればそちらが例外的。上場がゴールとなり、満足する例がいかに多いことか。聞けばIPO長者の集いは「リア充」ぶりを披露しあうサロン。成長を競う場にならないらしい。
- 近年のIPOで多いのはシステム開発やコンサルティング関連だ。目先すぐ要りそうな機能や対象市場を細かく刻んだ起業家ばかりが並ぶ。こぢんまりして次の成長の絵も持たないから、立ち止まってしまう例が少なくないのだ。
- 目先のカネという意味ではIPOのエコシステム自体がそのワナに陥っている。投資の回収をしたがるベンチャーキャピタルがIPOを急がせる。証券会社も上場支援の手伝いは1社2年ほどにして、次々回転させた方が稼げるとの短期志向を抜けられない。
- 米国のダイナミズムは時価総額で上位を張る企業が続々育つことにある。起業者たちは「世界を変える」と挑み、周りも有望事業を大樹に育てて大きく実りをとろうとする全体の経済システムがある。
- 日本の小粒IPOの課題は言い尽くした。ここからは打ち破れるかだ。日本だからだめだとは思わない。野心に燃え、アイデアや技術を持つ若い起業家たちはきっといる。
- 起業家のみなさん、もっと大志を。その挑戦を支え、大きく育てる豊かな資本市場づくりを。そうした本質論にもっと近づきたい。