日本の「人財力」世界40位 語学・有能な管理職で見劣り
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOCC219E10R20C25A2000000/
【コメント】
  • これまでも問題視されていたが、改めての記事です。
  • 日本の人的資本と組織資本は世界の中で順位を下げ続けています。
  • 人的資本では、語学力のなさや企業での管理能力の低さが際立ってしまっています。
  • 組織資本では、意思決定の遅さや市場変化への対応力、機会と脅威への対応力が最下位級のようです。これらはデジタル化への対応力の遅れも影響しているそうです。
  • シニアや女性の就業率はすでに世界的に高い水準となっており、人口減少傾向の中でこれ以上期待することはできず、今後は専ら外国人に頼ることになるそうです。2040年には「外国人1割社会」に突入するとのことです。
  • 1980年年代には、世界トップレベルの人的資本や組織力により世界を席巻していた日本がどうしてここまで低迷してしまったのか、、、。
  • 真因は、1990年からの失われた30年間に日本に蔓延した油断と傲りと感じます。今を謳歌することが美徳とされるようになり、結婚での束縛を回避したい、子育てで苦労したくない、自分だけのために金と時間を使いたいという風潮が蔓延したことによる人口減少が最大の原因と思われます。
  • 賛否はあると思いますが、一定年齢以上の独身者や身体的理由がなく子供のない夫婦の税負担を重くし、子供のいる夫婦やシングルマザー/ファザーには子供の数に応じ税負担を軽減するなど、人口減少に歯止めをかける工夫をもっと強化すべきと思います。
【記事概要】
(1)「人的資本」「組織資本」 世界における日本の現在地
  • スイスの有力ビジネススクールIMDが発表する2024年の世界競争力ランキングで、日本は38位と3年連続で過去最低を更新した。調査対象の国・地域で日本は下位に低迷していることが分かった。24年版の調査対象は67カ国・地域で、統計データと各国の企業経営者などへのアンケート調査を基に算出する。
  • 24年の首位はシンガポールで、米国は19位、同じ東アジアの韓国(25位)の後塵(こうじん)を拝する。組織資本はさらに低く、同じ期間では18年の48位がピークで、他の年は50〜60位台だ。
  • 人的資本では、24年版で「企業ニーズを満たす語学力」「有能な管理職の厚み」は最下位級で、「企業ニーズを満たす大学教育」も58位と低い。なかでも「有能な管理職の厚み」は17年まで遡っても50位台後半から60位台と低く、24年は過去最低だった。
  • 組織資本では「意思決定の迅速性」「市場変化への対応力」「機会と脅威への対応力」が最下位級だった。「有能な管理職の厚みの順位が低い点と背中合わせの関係にあるのではないか」(酒井氏)。「労働者のモチベーション」は31位と中位だが、13年の5位をピークに、順位をじわじわ下げている。デジタル化への対応遅れも影響しているようだ。
(2)「数」の確保も難しく シニア・女性頼みに限界
  • 直近で見ると、少子高齢化で24年の生産年齢人口は減る一方、女性や高齢者の労働参加で24年の就業者数は6781万人と1980年に比べれば22%増えた。それでも楽観視はできない。労働政策研究・研修機構の推計では、2040年時点の就業者数は経済成長や女性や高齢者の労働参加が進む「労働参加進展」シナリオでも6734万人へと減少。さらに経済成長と労働参加が一定程度の「労働参加漸進」では6375万人、最も低い「労働参加現状」では5768万人まで落ち込んでしまう。
  • 主要7カ国(G7)と韓国の65歳以上の就業率(22年)を比べてみても、日本は25%で首位の韓国(36%)に次ぐ水準だった。男女別でみると、女性(15〜64歳)の就業率は7割を超え、男性(同)は84%で最も高かった。高齢者と女性の労働参加に頼る構図は限界が近づいている。
3)今後の展望は? 副業で「一人が複数の役割」、外国人増加 
  • 厚生労働省は18年、労働者の副業を原則禁止する規定を削除し、副業を認める規定を新たに設けた。総務省の就業構造基本調査によると、22年の副業者は332万人で20年前と比べて30%増えた。現在の仕事を続けながら他の仕事をしたいと思う「追加副業希望者」は516万人と、20年前から56%増えた。副業希望者と仕事を結びつけるサービスが登場。都市部に住みながら、別の地域で地域に貢献するような副業を手掛ける人も現れてきている。
  • 日本で暮らす外国人も増えている。40年代にも「外国人1割社会」が到来するとみる。働き手としてもさらに存在感が高まる。
  • 人手不足が常態化するなか、これまでの働き方の常識は通用しなくなっている。世界に目を転じれば、デジタル化など新たな潮流が生まれている。個々が持つ能力や技術だけでなく、社会全体のアップデートを怠れば「人財立国」の再興はおぼつかない。