国会議員の労働生産性を上げるには? 計算式から考える
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUA2981H0Z20C25A1000000/?type=my#AAAUAgAAMA
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUA2981H0Z20C25A1000000/?type=my#AAAUAgAAMA
【コメント】
- 日経新聞が、国会議員の生産性の低さに関する記事を掲載しました!
- 労働生産性は「アウトプット(成果)÷インプット(投入)」で算出でき、企業の生産性は比較的算出しやすく、日本の一人当たりの労働生産性はOECD加盟38カ国中32位(泣)。G7では最下位です。(これはこれで大問題!)
- 国会議員の生産性はこの計算式で単純には図れませんが、米国では法案提出権は議員のみに帰属していますが、日本ではほとんどが官僚によって作られ議員立法の優先順位は低く、野党案の多くは審議すらされないそうです。
- 国会本会議には「品位を損なう」というバカな理由でタブレットの持ち込みは禁止だそうです。ボタン一発で可能な首班指名選挙は行列をなし時間をかけて行なっている始末です。昨日のニュース番組では、小泉議員が「国会議員が収支報告書をデジタルで提出している比率は未だ数%」と言っていました。デジタルで提出することなど非常に簡単であり、そんなことができない国会議員は国会議員である前に現代人として失格です。選挙の前にITリテラシー試験をしましょう!
- 今朝のニュースで自民党の税調会長が「ガソリン税廃止は、税制改正や補正予算編成が必要で簡単なことではない(時間がかかる)」と言っていましたが、民意を早期に実現するのが国会議員の役割だということを失念した言動と感じます。
- 選挙に当選することにしか興味のない政治家が多く、加えて未だに形式主義による非効率性が蔓延する国会は早急な改革が必須です。能力がない国会議員を排除するために、まずは国会議員の定数削減の早期実施が必要と思われます。
【記事概要】
- まもなく年度が変わり今国会の前半戦も終わる。審議が長時間に及ぶわりに国民が成果を実感しづらい姿は相変わらずだ。国会の活動を評価する人は日本経済新聞とテレビ東京の3月の世論調査で29%と低位安定する。国会議員の労働生産性を上げるにはどうしたらいいか。計算式から考えてみたい。
- 労働生産性は「アウトプット(成果)÷インプット(投入)」で算出する。就業者や企業の生産性は数値化できる。アウトプットを生み出した付加価値の額や生産量、インプットを労働者数や労働時間から換算し、数字を出す。2023年の日本の就業者一人あたりの労働生産性は経済協力開発機構(OECD)加盟38カ国中32位だった。時間あたりの数字とともに主要7カ国(G7)で一番低い。
- 国会議員の生産性を就業者や企業と同じように数値化するのは難しい。ただし計算式に仕事をあてはめてみることで生産性をいかに高められるか考えることはできる。成果を大きくし、投入を小さくすれば、生産性は上がる。
少ない議員立法
- 国会議員の成果を定量的にみるにはどうしたらいいか。学習院大の滝沢美帆教授(マクロ経済学)は「国会の活動や有権者にどのくらい支持されているかは指標になり得る」と話す。議員立法や議会での発言、質問主意書、当選の数などが考えられる。24年の通常国会で成立した69本の法律のうち、政府提出は61本、議員立法は8本だった。日本では主に各省庁が法案の作成を担い、政府提出の成立数の方が多い傾向は一貫する。米国は議員だけが法案の提出権を持つ。
- 立法の観点で国会議員の成果を最大化するためには、議員立法の成立数を増やし、政府提出法案に必要な修正を加える必要がある。現状は議員立法の優先順位は低く、野党案の多くは審議すらされない。政府案の修正も少ない。
- 議会での発言回数はどうだろう。国会審議を見れば「多いほど生産性が高くなる」とは言いにくい。2月6日の衆院予算委員会。「細かい数字を聞くなら大臣じゃなくて事務方を呼びなさい」。安住淳委員長は同じ所属の立憲民主党の議員を注意した。厚生労働行政に関する金額を福岡資麿厚労相に執拗に問いただした。国会の審議では扱っている予算案や法案と関係のない閣僚の不祥事の追及や地元の陳情のような質問に終始する例が多い。「ネットで検索すればわかる質問も結構ある」(経済官庁職員)
- 国会審議の形骸化の原因として政府が法案を国会に提出する前に与党内で了承する「事前審査制」が考えられる。いまの少数与党下でも与野党が主に国会の外で予算案や法案について協議しているのが現状だ。
デジタル化に遅れ
- 計算式で分母になる投入の方はどうか。減らすにはデジタルによる効率化は必須だ。国会ではいまだ本会議でのタブレットなどの利用が「品位を損なう」との理由で制限され紙文化は根強い。採決で時間を要する記名投票も残る。
- 議員定数の削減は投入の低減に直結する。一人ひとりの能力を高める人的資本投資も不可欠だ。多様性やイノベーションを呼び込む人材の流動性を含む。滝沢氏は「国会議員も世代交代や他の職業との入れ替わりを促す必要がある」と語る。
- 日本はこの30年、経済が停滞し国際的影響力を損ねた。名目国内総生産(GDP)は世界2位から4位に落ち、1人あたりの数字はOECD加盟国中22位だ。実質賃金も横ばいを続け、G7各国に引き離される。
- 東短リサーチの加藤出チーフエコノミストは「国会議員は日本の将来の経済成長や国際的な地位の向上につながる長期的な観点の政策に注力していく必要がある。そうなれば国会全体の生産性も高いと評価される」
- 国会議員は自身の生産性を高め、国会全体の成果として国民生活の豊かさにつながったと示すことが求められる。ただし「選挙のたびに安易なバラマキ政策を打って財政赤字が膨らめば、中長期的には国にとってマイナスだ」(加藤氏)。
「ぎちょー!」にみる形式主義
- 「ぎちょーー!○○されることを望みまぁーーす!」。国会の古い慣例の一つが衆院の「議事進行係」だ。事務局によると、1894年の第8回帝国議会が始まりという。ある議員が議長の進行を助けようと役割を買って出た。与党の当選2〜4回の議員を選ぶのが通例で、自民党では総裁への登竜門とされてきた。現行憲法下で96代目を務める自民党の鈴木隼人議員は「思っていたより難しい。何度もミスしている」と明かす。デビュー前には予行演習に励んだ。歴代経験者から「もっと語尾を伸ばせ」などの助言を受けた。独特な発声はマイクがなかった時代の名残といわれる。いまはマイクが置かれる。本会議の議事はほぼシナリオ通りに進み、議長が進行を仕切ればよいとの考え方もある。参院は1993年に同様の係を廃止した。
- 国会は慣例を重視して形式主義に陥りがちだ。2月19日、衆院予算委での参考人招致を巡って与野党が折り合わず、委員会を開けなかった。石破首相はいつ開会しても対応できるよう国会内で待機する慣例に従い、5時間待った。
- 2023年には林芳正外相(当時)がインドで開いた20カ国・地域(G20)外相会合を欠席した。国会で予算案を審議する際、最初の基本的質疑に全閣僚が出席する慣例を優先し、外交に影響を及ぼした。形式主義は生産性を落とす。
- 3月、村上誠一郎総務相が所管法案を審議していた衆院本会議中にトイレで離席し、野党がとがめて紛糾した。首相や閣僚が本会議中にトイレに行く時の与野党の申し合わせがなく、後日ルールができた。トイレを我慢すれば仕事にならない発想を欠いた。
記者の目 はかれぬ数値、安住するな
- 医療や治安、社会の幸福度――。公共サービスは定量化できるものばかりではなく、なんでも削ればいいというわけではない。米実業家のイーロン・マスク氏が率いる政府効率化省(DOGE)への反発が米国で広がるのも無理はない。
- 日本の国会は明らかにムダがある。記事では石破首相が疲れて居眠りしているような写真を掲載した。批判したいのではない。仕事が山積する日本の最高権力者を縛り付けにする国会の非生産性をよく表すと思うからだ。
- 少数与党下の今国会。約30年ぶりに政府予算案が修正された。高額療養費制度の限度額引き上げの政府方針を巡り、野党が見直しをつきつけた。生産性の数値ははかれなくても、各議員が計算式を意識すればきっと高められる。