「関税不況」リスク、市場覆う  日経平均急落1500円安
https://www.nikkei.com/paper/article/?b=20250401&ng=DGKKZO87728730R00C25A4MM8000
【コメント】
  • 昨日、日経平均は急落しました。
  • 株価は、昨年8月の過去最大の急落時以来の3万5617円でした。
  • 全世界の投資家がトランプ関税の不透明感に嫌気がさし売り一色になりました。トランプ氏や財務長官が、株価下落を是認する発言があったことも売りの一員となりました。
  • 関税が大幅に引き上げられると、米国内の消費者に対し値上げという形で転嫁され、インフレと消費停滞が現実化する可能性が高く、この影響が日本の輸出企業にも飛び火します。
  • 当面は、日米の株価は冴えない展開が予想されると思われますが、関税の影響などが明確になってくれば中期的にはまた株価は上昇トレンドに入るのではないかと思われます。(投資は自己責任で!)
【記事概要】
  • 株式市場がトランプ米政権が繰り出す関税政策が生む「不況」に身構え始めた。3月31日の東京株式市場で日経平均株価の前週末比の下げ幅が1500円を超え、1日としての下げ幅は今年最大となった。米国株も年初来で5%安の水準に沈む。リスクシナリオのひとつだった米景気悪化の確度が高まり、企業業績の下振れが現実味を増している。
  • 31日の日経平均の終値は前週末比1502円(4%)安の3万5617円。東証プライム市場では96%超の銘柄が下げる全面安だった。過去最大の急落(4451円安)に見舞われた直後の24年8月上旬以来の安値だ。
  • 24年度は4751円(12%)下落し、年度としては21年度(1357円安、5%安)以来3年ぶりの下落で終えた。株価急落の背景には、米政府の追加関税をきっかけに、米経済が物価上昇と景気停滞が同時に進む「スタグフレーション」に陥るリスクを投資家が感じ取り始めたことがある。
  • 前週末に発表の2月の米個人消費支出(PCE)物価指数は市場予想以上に上昇した。米国の物価上昇圧力が根強い様子を示した。一方、3月の米ミシガン大消費者態度指数は2年4カ月ぶり低水準になった。
  • 米ゴールドマン・サックスは30日のリポートで、「関税の引き上げは米国の消費者物価を押し上げる可能性が高い」と指摘した。その上で、1年以内に米国が景気後退に陥る確率を従来の20%から35%に引き上げた。
  • 雰囲気を徐々に変えたのが米政権幹部の景気悪化や米株安を軽視する発言だ。ベッセント米財務長官は16日の米NBCの番組で「調整は健全で、普通のことだ」と述べた。トランプ氏も「多少の混乱はある」と語った。
  • こうした発言に株式投資家は売り姿勢を強めた。前週末28日の米国株は主要3指数そろって下落。S&P500種株価指数は2月の最高値からの下落率が9%に達した。
  • 米政府は4月2日に相互関税の内容を公表する見通し。JPモルガンによれば自動車や鉄鋼への追加関税発動前の米平均関税率は3%弱。相互関税でどこまで上がるかが焦点だ。10%程度なら世界経済に打撃を与える可能性は低いとみられる。
  • 一方、貿易相手国の非関税障壁を理由に税率を大幅に引き上げる強硬策に出てくれば、市場は世界景気の悪化リスクを織り込まざるをえない。
  • 大和証券は25年度の主要企業の経常利益を前年度比7%増と見込むが、「相互関税の内容次第で減益シナリオも否定できない」との見方も出る。
  • 年度末特有の要因で企業の自社株買いや金融機関による買いが入りづらく、「需給の谷」にあることも日本株の下げ幅を大きくさせた。短期的には自律反発期待も残るものの、市場を覆う不透明感は容易には晴れない。