日本株、なお売りの連鎖 米恐怖指数は危機並みの水準
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUB040QJ0U5A400C2000000/
【コメント】
  • さあ、今週がスタートですが、朝から日経株価の下落が止まらないことが予想されます。
  • VIX指数が40を超えています! !
  • VIX指数とは、株価が将来的にどの程度変動すると投資家が見込んでいるかを示す指数です。 株価下落への警戒が強まる局面で上昇するため「恐怖指数」とも呼びます。 例えば数値が20の場合は「1年先の株価が7割の確率で上下20%の範囲で変動する」と市場が想定していることを意味します。通常は10〜20程度で推移し、20を超えると投資家の不安心理が高まっているとされます。現在は40を超えているので、とんでもない恐怖レベルということです。
  • VIX指数40越えは、15年8月に中国が人民元を切り下げた「チャイナショック」、円キャリー取引の巻き戻しが株安を誘発した24年8月、08年のリーマン・ショック、20年の新型コロナウイルス禍の局面でしたが、現在はその時々と同様な混乱レベルです。
  • 過去を見ると、景気後退を伴わない単なる一時的な市場の調整であるならば株価はすぐに反発していましたが、景気後退が予想されれば株価低迷は長期間に及びます。今回は、トランプ関税が発表通りならば世界的な景気後退を招くかもしれませんので株価低迷は長引くかもしれません。ただし、この関税措置が緩和されていけば安心感が広がり株価はそれなりに早期に持ち直すことも期待できます。
  • 米国ではトランプ関税に反対する大規模なデモも起こっているようですが、そもそも米国は共和党と民主党で二分されているので半分反対派がいても不思議ではありません。トランプ大統領は、当面の株価下落や国民の反対などは想定内とだと思われますが、この二つを長期化させることは望まないと思います。本件の決着がどのような方向に向かうのか、今週が一つの山場だと思います
  • 今週の日経平均が昨年8月の3万1458円を保てるかが当面の焦点です。また今週アナリストが業績見通しを下方修正してくることが予想されますが、これにより場合によっては3万円を割り込む局面があるかもしれません。
  • S&P500や世界株、日経平均ともに4月のどこかで底値をつける可能性はあると思いますが、反転の速度は依然不透明です。(投資は自己責任で!)
【記事概要】
  • トランプ米大統領の「相互関税」が日経平均株価の急落を招いている。今週も下落で始まるとみられ、日経平均が過去最大の下落幅を記録した2024年8月に付けた安値、3万1458円を保てるかが焦点だ。市場の緊迫度を示す米国の「恐怖指数」は過去の危機並みの水準に高まり、波乱含みの展開が続く。日本企業の業績への打撃に警戒感が広がっている。
VIX40超え後の株価、今回は「欧州債務危機型」か
  • 「人為的ショックを起点に危機が連鎖する点で欧州債務危機に似ている」。米政権の関税政策が引き起こした世界株安をこう指摘する。欧州債務危機はギリシャ政府による財政赤字の隠蔽発覚に始まり、南欧の債務問題や欧州内の政治対立につながった。トランプ氏が打ち出した高関税は米国の物価高だけでなく脆弱な国、企業の危機や政治の分断を深めかねない怖さがある。
  • 市場の緊迫感は過去の危機時に並んできた。「恐怖指数」と呼ばれ投資家の不安の程度を示す米国の「VIX指数」は4日に40を超えた。40を超えるのは過去20年で5〜6回の局面しかない。
  • 40突破が通過点でしかなかったのは08年のリーマン・ショックや20年の新型コロナウイルス禍の局面だ。各国が景気後退に陥り、VIX上昇と株安が続いた。欧州債務危機時はVIX40突破後の株価底割れは回避されたものの、金融危機からの景気回復が足踏みとなり相場低迷が長引いた。
関税交渉の行方を注視
  • 今週、市場関係者が注視するのは関税交渉の行方。石破茂首相は5日の読売テレビ番組で、トランプ氏との電話協議に関し「来週のうちにはやりたい」と述べた。トランプ氏が妥協の姿勢を見せれば株価は急反発するとの見方もある。
  • ピクテ・ジャパンの市川真一シニア・フェローは「26年11月の中間選挙を意識した議会がトランプ氏に政策を変更するよう迫る可能性もある」と指摘する。実際、共和党議員からも関税への批判の声が上がっている。
  • 日経平均を構成する225社の25年度の1株利益(EPS)について、アナリスト予想の平均(QUICKコンセンサス)は8.7%の増益見通しとなってきた。JPモルガン証券によると日本への24%の関税適用が続くと25年度のEPSを7%押し下げる。増益分がほぼ消し飛んでしまう。株価は、EPSに投資家の期待を映すPER(株価収益率)を掛け合わせて決まる。現在のPER(13倍台半ば)に25年度のゼロ成長前提のEPSを掛け合わせると3万2500円と先物の価格に近い。
悲観シナリオは2万7000円台
  • 世界景気の行方によっては「1割減益になる可能性もある」。過去の景気後退局面のPERの目安は12.7倍。10%減益でPER12.5倍ならば日経平均は2万7000円台となる計算だ。
  • マクロ経済の想定を踏まえ「アナリスト予想の下方修正は今週から本格化する」。5月上旬にかけては2025年3月期の企業決算が相次ぐ。業績への影響がある程度、見えてくれば押し目買いも入りやすくなる。
  • 金融政策への関心も高まってきた。株安が止まらないようだと金融システムや流動性への懸念も台頭する。「中央銀行が支えることも株安への歯止めになる」との声がある。