経済対策、狭まる選択肢 「ばらまき」批判や法改正に時間… 首相、月内に方向性判断
https://www.nikkei.com/paper/article/?b=20250417&ng=DGKKZO88099510X10C25A4PD0000
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【コメント】
- 朝刊の政治面に再度経済対策の記事が掲載されています。現金給付、消費税減税、補助金(電気・ガス代)などの具体策が並んでいます。
- 記事の全体的な印象が「経済対策を参議院選挙前までにやらねば!」という与野党の意向が感じられます。また現在開催されている国会では何も決めないと石破首相は言及しているようです。
- トランプ関税事件勃発前は「物価高に対応する必要がある」という主旨で議論が始まっていたと思いますが、現在の国会の論調は「トランプ関税の決着を見ないと判断できない」となっています。
- そもそも「物価高対応」ならば、この国会で決定し早期に実行に移すことが必要と思われます。「トランプ関税の影響」は少なからずあると思われますが、それは決着した際に改めて必要ならば追加の対策を行うべきと思います。
- 与野党ともに「参議院選挙で勝つ」ことを念頭においた議論となっている感があることに問題を感じます。選挙云々以前に、真に国民の生活防衛のために選挙日程などを意識せず、必要ならば早期に対策を講じることが本筋だと思います。
- 国会議員は議員であることが職業化しており、相変わらず「失職しないこと」が最大の目的になっている感があることに疑問を感じます。
【記事概要】
- 物価高や米国の関税措置を受け、現金給付、消費税減税、補助金といった方策が浮かんできた。夏の参院選までに野党を取り込んで実現できる選択肢は狭まっている。
- 自民、公明両党は衆院で過半数を持たない「少数与党」の状況にある。補正予算案を成立させるには野党勢力を取り込む調整が前提になる。夏の参院選を前に6月22日までの国会会期を大幅に延ばすのは難しく、時間は限られている。
- 経済対策の大きな理由である米相互関税は発動まで90日間の猶予ができた。その間の交渉の方向性がいつみえるか不透明な状況だ。
- 経済対策はこれまで大きく3つの方向性が浮かんできた。
- まず与党から挙がった方策が現金給付だ。マイナンバーによる電子申請を使えば早期に実行までこぎ着けられる。自民党で3万~5万円程度、公明党で10万円という案が取り沙汰された。参院選前に1回限り実施することを念頭に置いた。ところが報道各社の世論調査で給付に否定的な意見が多数を占めた。野党からも問題視する声が相次ぎ、政権側が協力を得るのは難しいとの見方が広がる。
- もう一つ持ち上がったのが消費税の減税論だ。参院自民や公明党から要望がある。SNSで減税を求める投稿が盛り上がる。何より野党の日本維新の会や国民民主党などが主張し、両党の協力が得られる可能性がある。一方で減税は時間がかかる。法改正が必要で、税率変更のシステム改修も伴う。実行はかなり先になる。財源も給付以上に問われる。時限的な措置でない限り恒久的な財源が欠かせない。消費税収は社会保障に充てており、代替財源を捻出しなければ赤字国債の増発につながりうる。ひとたび下げた税率を再び引き上げるのは困難だ。
- 3つ目に取り沙汰されるのが補助金だ。自民、公明両党の幹事長は15日、電気・ガス代の補助再開を求める考えで一致した。24年夏の8~10月より早め、6~8月の3カ月間を念頭に補助するよう政府に促す方針を擦り合わせた。エネルギー関連の補助金は過去に実績があり、政権にとって着手しやすい側面がある。一方で脱炭素に逆行する取り組みを続けることは疑念を招く。国民に施策を認識してもらいにくいとの意見もある。