【コメント】
- 補助金と規制を政府がコントロールする「大きな政府」から、それらを白紙にし改めて必要最小限のものに絞る「小さな政府」への転換が急務という記事です。
- 自民党の利権を支えている「生産者重視」の政策から、消費者の立場に立った「消費者重視」の政策への転換が日本の将来を救う方策だという論調です。
- 自民党国会議員が失職を恐れるあまり、多くの補助金を採算性やその結果をろくに検証もせず、票獲得のためだけに行なってきた政策が現在の日本の惨状を招いている感はあります。
- 国や地方公共団体などの議員や官僚を効率化し、本当に必要な消費者サービスに重点を置いた運営にすべきです。
【記事概要】
- 国民民主党は「減税による手取り所得増」を唱え、若い世代の支持を受けて衆議院選挙で躍進した。今度は消費税の5%への引き下げで、参議院選の勝利を目指している。
- 実質賃金が長期間高まらない半面、税金や社会保険料だけが増えている。そんな政府がなぜ必要かという疑問は当然だ。しかし、国民民主党が本気で政権を取りに行くなら減税だけでは不十分だ。無駄な歳出を削減し「小さな政府」を目指すことが本筋である。
- 典型は農業政策だ。膨大な補助金を農業生産のためでなく、食用米の減反で価格を引き上げる生産者利益のために用いている。農協主導の減反カルテルの行き過ぎが、今回のコメ価格高騰の主因である。この減反政策を、今年の田植え時期までに見直さなければ、今秋の新米の価格も高止まりとなる公算が大きい。消費者無視の農協と農林水産省、農林議員のトライアングルは与党では改革が困難だ。それは国民民主や日本維新の会などの政党の役割だ。コメの減反補助金を止めれば、増産で価格が低下する。増産分を輸出に回せば、大規模農家の収入は増え、若者の雇用増で農村は活性化する。コメの輸入関税も撤廃でき、トランプ米大統領への交渉材料ともなる。零細農家の損失には、時限的な直接補助金で対応すればよい。
- 農水省以外の省庁の補助金にもメスを入れる。すべて白紙に戻した上で、必要な補助金だけを復活させるべきだ。
- 補助金だけでなく、特定業界の利益を擁護し、新ビジネスの発展を妨げる規制の改革も急務である。高齢化が進み、都市部以外の交通難民の増加は深刻である。他方、バスやトラックなどの運転手不足は構造的だ。それにもかかわらず、タクシー不足を補うライドシェアの普及が妨げられている。タクシー会社の利権にもメスを入れるべきだ。
- 電波周波数や空港発着枠などの配分も担当省庁の利権である。これらをオークション方式にすれば、公平なだけでなく政府の収入増にもなる。
- 国民民主党などの保守系野党が次の参院選で躍進すれば、業界の利権擁護を続けてきた与党をけん制できる。生産者重視から消費者重視の政策への転換も可能だ。そのためには減税を訴えるだけでなく、小さく効率的な政府を目指した、責任政党となることが求められる。