【コメント】
- 消費減税に対する初歩的なチェックポイントをあげた記事です。サラッとお読みください。
【記事概要】
- 物価高や米関税措置への対策として、「時限的な消費税減税」を求める声がある。時事通信社の4月世論調査では、賛成が68.4%と反対の14.0%を大きく上回った。夏の参議院選挙を前に、この議論は与野党を巻き込んで盛り上がることだろう。消費減税は現実的な選択肢となり得るのか。7つのチェックポイントを考えてみた。
(1)景気刺激のための減税はインフレを加速する。「困っている人を助ける」ことが目的ならば受給対象を絞った給付金が適切なのではないか。
(2)今の日本経済は需要が足りないというよりは供給力不足が問題だ。コメが典型的だが、作る人が足りなくて値段が上がっている。消費減税という政策は人手不足という課題に対して全く無力である。
(3)いつから税率を下げるつもりなのか。消費税率を変えるには法改正が必要であり、国会が今すぐ取り掛かったとしても年内実施は容易ではない。年末商戦に間に合わせるために10月1日から減税するとしよう。その前にはかならず「買い控え」が発生する。つまり増税時の「駆け込み需要」の逆の現象が起きてしまう。消費減税という政策には即効性を期待しにくいのだ。
(4)時限的な消費減税を実施する場合は「いつ元に戻すのか」という問いがつきまとう。「3年後に戻す」など手法はあるだろうが、「一度下げたら二度と上げられない」という事態は避けたい。
(5)消費減税の際には、かならず増税時と同じコストがかかる。商店は値札を替えねばならず、会計ソフトなども更新することになる。納税する事業者の負担もお忘れなく。
(6)消費減税によって個人消費が増えるという保証はない。コロナ禍の際の10万円の給付金さえ、ほとんどは貯蓄に回った。「減税すれば税収が伸びる」という一部の議論は疑わしい。
(7)ひとつだけ確実なのは、減税によって国の財政赤字がさらに悪化することだ。日本国債の格下げリスクも無視できない。長期金利を上昇させ、企業のコストを増やすとともに住宅ローン金利などを通じて国民生活を圧迫しよう。
(2)今の日本経済は需要が足りないというよりは供給力不足が問題だ。コメが典型的だが、作る人が足りなくて値段が上がっている。消費減税という政策は人手不足という課題に対して全く無力である。
(3)いつから税率を下げるつもりなのか。消費税率を変えるには法改正が必要であり、国会が今すぐ取り掛かったとしても年内実施は容易ではない。年末商戦に間に合わせるために10月1日から減税するとしよう。その前にはかならず「買い控え」が発生する。つまり増税時の「駆け込み需要」の逆の現象が起きてしまう。消費減税という政策には即効性を期待しにくいのだ。
(4)時限的な消費減税を実施する場合は「いつ元に戻すのか」という問いがつきまとう。「3年後に戻す」など手法はあるだろうが、「一度下げたら二度と上げられない」という事態は避けたい。
(5)消費減税の際には、かならず増税時と同じコストがかかる。商店は値札を替えねばならず、会計ソフトなども更新することになる。納税する事業者の負担もお忘れなく。
(6)消費減税によって個人消費が増えるという保証はない。コロナ禍の際の10万円の給付金さえ、ほとんどは貯蓄に回った。「減税すれば税収が伸びる」という一部の議論は疑わしい。
(7)ひとつだけ確実なのは、減税によって国の財政赤字がさらに悪化することだ。日本国債の格下げリスクも無視できない。長期金利を上昇させ、企業のコストを増やすとともに住宅ローン金利などを通じて国民生活を圧迫しよう。
- 「減税は民意である」と唱える人たちは、せめてこの程度は考慮しておいていただきたい。神は細部に宿るのである。