高校無償化の大波3 「想定以上の入塾希望」
https://www.nikkei.com/paper/article/?b=20250430&ng=DGKKZO88373130Q5A430C2PE8000
https://www.nikkei.com/paper/article/?b=20250430&ng=DGKKZO88373130Q5A430C2PE8000
【コメント】
- 東京都が私立高校の授業料助成を開始し、これに対し塾業界が活性化しているようです。
- 授業料の助成により思いがけず家計に余裕が生まれた家庭があり、「教育で浮いた分は教育に回そうという家庭が多い」といったことが背景にあるようです。
- 都立の人気校だけでなく、私立難関校への進学を目指す中学生が増加しているようで、こういった需要に塾側は機敏に対応、専門のコースなどを増設・定員増加を実施しているそうです。
- 中学生の学習機会が増加することは良いことだと思いますが、親ではなくあくまで本人のやる気が醸成されることが肝要と思います。
- 授業料の助成と本人の学習意欲増加に相関関係を見出しにくいと思いますが、これを機会に本人が学びたい分野に資金を振り向けてあげることが大切と感じます。子供の人生は子供のものですので!
【記事概要】
- 東京都は全国に先駆け、2024年度から私立高校の授業料助成を始めた。「これまでは公立中高一貫校を第1志望にしてきたが学費の負担が減るので私立も選択肢に入ってくる。子供が希望する学校に行かせてあげたい」。
- 無償化で浮いた教育費が流れ込む先は学習塾だ。東京や、高校無償化の動きで先行する大阪ではじわり私立シフトが進み始め、学習塾が対応を急ぐ。
- 都内を中心に約200校を展開する進学塾「ena」は公立中高一貫校の合格実績を売りとし「都立のena」と呼ばれてきたが、24年から小学4年生以上を対象に私立中の併願をにらむ「都私立コース」を新設した。今では小学5年生の半分が同コースを選ぶ。
- さらに開成など「御三家」や早慶といった最難関の私立中合格を目指す専門ブランド「極」を立ち上げ、専用校舎も設けた。「思ったよりはるかに多い入塾希望があり、慌ててクラスを増設した」。enaを運営する学究社の社長、栗崎篤史(49)は驚く。
- 私立志向が強まれば、公立に特化してきた塾は戦略の転換が求められることになる。グループ内に難関都立・公立高校受験に特化した進学塾を抱える、河合塾グループ代表の河合英樹(42)は「大阪でも難関公立高の倍率が下がった事例があるので今後の動向を注視したい」と話す。
- ベネッセホールディングス傘下の中学受験塾「進学館√+(ルータス)」を統括する執行役員、吉田努(55)は「教育で浮いた分は教育に回そうという家庭が多い」とみる。実際、大阪では25年の中学受験者数が前年比7%増え、受験率は12%台に乗った。塾だけでなく「英語やそろばんといった習い事にも教育マネーが流れている」。
- 子供の数が減り、学習塾を取り巻く環境は厳しい。東京商工リサーチによると24年の学習塾の倒産数は過去最多となった。予備校「ニチガク」を運営する日本学力振興会(東京・新宿)など中堅規模の塾まで倒産に追い込まれる中、高校無償化は塾業界にとって干天の慈雨となり得る。その動きは東京や大阪といった大都市圏から一気に地方都市に広がる可能性もある。