植田総裁、米関税「不確実性高い」 日銀、今年度0.5%成長に下げ 利上げ継続へ正念場
https://www.nikkei.com/paper/article/?b=20250502&ng=DGKKZO88427650S5A500C2EA2000
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【コメント】
- 昨日、金融政策決定会合が開催され利上げは見送られました。
- トランプ関税の影響を鑑み、経済成長率は25,26年度ともに下方修正、物価上昇率も低下するとの見通しを示しました。利上げどころではないという見解に感じます。
- この会見を受け、ドル円は一気に円安方向に動き直近では145円台をつけています。
- 日米金利差が縮まらないという全体感があり、当面ドル円は140円台前半を行き来する展開だと思われますが、中長期的には「キャッシュフローベースのドル円需給」を考えると再度150〜160円台に到達することも考えられると思いますが、トランプさんの怒り顔が頭をよぎります笑。
【記事概要】
- 今後の利上げシナリオに不透明感が強まっている。1日開いた金融政策決定会合では、2会合連続で政策金利を0.5%に据え置くと決めた。トランプ米政権による関税政策の不確実性が高まるなか、植田和男総裁は追加利上げの時期を明示せず「予断を持たずに点検する」と述べた。
- 「不確実性が極めて高い」。植田総裁は会合後の記者会見で繰り返し強調した。
- 政策委員はトランプ関税が世界の貿易取引を停滞させ、経済を下押しするとみる。経済成長率は25年度0.5%、26年度0.7%と、前回1月に示したリポートの見通し(25年度1.1%、26年度1.0%)から下方修正した。実際に1%を下回れば23年度(0.7%)以来となる。
- 特に物価への影響をどうみるかは難航した。生鮮食品を除く消費者物価指数(CPI)の上昇率は25年度2.2%、26年度1.7%とみる。1月のリポートでは25年度2.4%、26年度2.0%だった。一方で27年度は1.9%とした。いったん下振れするが、2%目標に向かって持ち直す姿を描いた。
- トランプ関税の経済への影響は各国政府間の交渉の進展に左右される。「見通し自体の確度が低く、修正する可能性もかなりある」(植田総裁)。更新した見通しは「記者会見などの場で丁寧に説明する」と言及した。
- 植田総裁は、利上げについては「経済・物価の見通しが実現していけば、情勢改善に応じて、引き続き政策金利を引き上げる」と言明し、従来の方針を維持した。日銀は当面は様子見せざるを得ない状況といえる。
- 利上げの到達点である中立金利(景気を熱しも冷ましもしない金利)まで政策金利を引き上げる時期は、これまでより後ずれすることになる。
- 関税の企業収益や賃金への影響をみるには、冬の賞与や26年の春闘が「重要なポイント」としたが、「それを待たないと決断できないということではない」とも述べ、年内の利上げにも余地を残した。
- トランプ米大統領が4月2日に相互関税の表明をしてから、市場が織り込む日銀の利上げ観測は後退している。東短リサーチと東短ICAPが算出する市場が織り込む利上げ確率は、3月下旬時点では7月会合までの利上げ織り込みが9割に上っていたが、1日時点では2割弱にとどまる。年内の利上げなしとの見方も約5割ある。
- トランプ米政権は相互関税の上乗せ部分を90日間停止すると表明している。目下交渉中にあることから、次回6月16~17日や7月30~31日の決定会合では関税の影響を見極めきれず、利上げには動きにくいとの見方が多勢を占める。
- 1日の東京外国為替市場では円安・ドル高が進んだ。日銀が1日昼に公表した展望リポートで成長率や物価の見通しを引き下げると、外為市場では利上げが遠のいたとの見方から1ドル=144円20銭台まで円安に振れた。みずほ証券の山本雅文チーフ為替ストラテジストは「利上げ確率の後退を会見で再確認して円売り圧力が高まった。ただ米景気の鈍化が見込まれているため積極的にドルを買える状況ではなく、円安の勢いは限られそうだ」と指摘した。