【コメント】
- トランプ関税は経済学的におかしい。長期的、広域的、定量的な視点にたって進められていない。記事の内容はその通りだと思います。
- しかし、そもそもトランプ大統領の狙いはそのようなところにはないとも考えられます。
- 就任している4年間に「米国第一主義」で、トランプ大統領を支持する国民が定性的に熱狂する状況を作り出せれば、それで良いのだと思います。大統領退任後は、表舞台から消えてしまうのですから。
- サラリーマン上がりの交代制で長期的視点に立たない社長と似ています笑。
【記事概要】
- 経済学の訓練を受けていない人は、受けた人に比べ次のような思考をしがちである。
- 第一は、視点が短期的であることだ。経済学的訓練を受けた人は、一見すると良さそうに見える政策が、長い目で見ると必ずしも良い結果をもたらさない場合があることを知っている。
- 第二は部分均衡的(最初に変化した部分だけを考慮し、それ以外は不変と考える思考法)であることだ。経済学的訓練を受けた人は、政策の効果・影響を考える際、広い範囲で影響を考慮する一般均衡的な発想で臨むべきだと考える。
- 第三は定量的な感覚に欠けることだ。経済学の訓練を受けた人は、政策の効果が実施のためのコストをどの程度上回るかを見て政策の是非を判断するよう心がけている。
- トランプ米大統領は高率の関税を取引材料として、各国から譲歩を勝ち取ろうとしているようだ。しかし、短期的にはそれが成功しても、長期的には、米国が力にものをいわせて自らの要求を実現させることは、信頼を失墜させるから米国のためにならない。
- トランプ大統領は高率の関税を課せば、輸入品が国産品に置き換えられ、米国の製造業が復活すると考えているようだ。しかし、輸入品の中には米国の生産で代替できない中間部品なども多いので、高関税は米国の製造業の生産コストを高め、かえって国際競争力を失わせる。
- また、最終消費財の輸入価格が上昇すれば、家計の実質所得の低下により消費が低迷し、米国経済は物価上昇と景気後退が同時進行するスタグフレーションに陥る可能性がある。一般均衡的に考えれば考えるほど、今回の関税政策は最悪の政策に見えてくる。
- 今回の関税政策によって米国で約2600億ドル(約38兆円)、世界全体で約5500億ドルの所得が失われることになる。これだけのコストを払って実行すべき政策はこの世に存在しない。
- トランプ大統領が展開している関税政策が非経済学的思考の塊であることが分かる。