「米トリプル安」再燃警戒 格下げでドル売り圧力、日本株に波及も
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUB166OC0W5A510C2000000/
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【コメント】
- 5月16日、大手格付け会社ムーデーズ・レーティングスが米国の格付けを最上位の「Aaa(トリプルA相当)」から「Aa1(ダブルAプラス相当)」に引き下げました。政府債務や利払い費が増加していることを理由に挙げています。ムーディーズは唯一、米国に最上位の格付けを付与する主要格付け会社でした。
- 格下げ後の初日に当たる今日、為替、債券、株の3市場の動きがどうなるか注目されています。
- 米国格下げですので、ドル、米国債、米株が売られることが予想できます。また日本株は、ドル安円高の影響に嫌気がさされ日本株売りも起こるかもしれません。
- 2011年に大手格付け会社の一社であるS&Pが米国格下げを行っていますが、その際にも米国売りが加速されました。
- 短期的には各市場は混乱するかもしれませんが、2011年度以降現在までを見通すと混乱はおさまっていますので、中長期的目線で平穏な日々を送りましょう。(投資は自己責任で)
【記事概要】
- 米国市場で通貨安、債券安、株安の「トリプル安」が再燃するリスクが警戒されている。格付け大手が16日に米国の格付けの引き下げを発表した。市場関係者の頭には過去の米格下げで米国の資産が売られた経験がよぎる。米中貿易協議の進展でいったん収まっていた「米国売り」が再開されるのか。週明けの市場は神経質な値動きになりそうだ。
- 「米政権と議会は巨額の財政赤字と金利上昇を逆行させるための政策協議に失敗し続けている」。大手格付け会社ムーデーズ・レーティングスは16日、米国の発行体格付けの引き下げを公表した声明でこう触れた。ムーディーズによる米格下げは市場で米政府の財政リスクを市場関係者に再認識させている。
- 今回のムーディーズによる引き下げにより、米国に対する格付けは3大格付け機関すべてで最上ではなくなった。2011年8月5日の米S&Pグローバル・レーティング、23年8月1日のフィッチ・レーティングスに続く動きだ。
- 米国への信認が低下したことを示す格下げはドルに下押し圧力になりうる。象徴的なのが11年のS&Pの格下げだ。当時は円高が加速し円の史上最高値の更新が続いていた。こうした経験もあり、市場では今回の格下げのインパクトを警戒する声が出ている。
- 「米国金融市場では『トリプル安』『ドル離れ』という4月の金融市場の混乱が再燃する可能性も考慮しておく必要があるのではないか」と警鐘を鳴らす。
- 円相場では外為どっとコム総合研究所の神田卓也調査部長は週明けの市場で円買い・ドル売りが大きく進むとし「ドル相場は円に対して月曜の1日で2円程度下がり、143円台になるのではないか」と予想する。短期的には4月下旬〜5月上旬の連休前後に付けた142円台半ばまでの円高・ドル安の進行を想定する。
- 「S&P、フィッチに次ぐ今回のムーディーズの格下げで、米国が正式に格下げされたと市場は判断するだろう。短期的に米国株を売る動きが広がる」とみる。日本株への波及も無視できない。今週は日経平均株価が3万7000円を下回る可能性がある。景気減速懸念の後退で買い戻しが広がっていた半導体や機械といった景気敏感株を中心に、再び売り圧力がのしかかるかが焦点だ。窪田氏は「円高・ドル安が進む中で日本株の戻りは米国株よりも鈍くなるだろう」とする。
- 一方で米格下げの影響は限られるとの見方もある。リスク回避の姿勢が強まって他の資産が大きく売られた場合、流動性が高い米国債が安全資産として買われる可能性があるからだ。そうなれば米長期金利の上昇も限られる。「マーケットの過去の経験則では、発表直後は米国債が売られて米金利は上昇するが、ほどなくリスク回避が強まり米国債が買われて金利が低下していく」(りそなホールディングスの井口慶一シニアストラテジスト)。例えば11年の米格下げ時も米国債は買われた。
- 米国債格下げの初期のインパクトが大きくなる可能性については市場の見方は一致するが、影響が長期化するかどうかについては見方が分かれる。交錯する思惑のなかで神経戦が演じられ、4月中旬から続いてきたマーケットの小康状態が破られる可能性が出てきた。