経済対策、6割が否定的 財政出動は「インフレ助長」 「低所得層に集中支援を」
https://www.nikkei.com/paper/article/?b=20250523&ng=DGKKZO88866090T20C25A5EA1000
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【コメント】
- 経済専門家が、現在の政策論争につき意見を述べています。
- 約6割が減税や財政出動は不適切との意見です。
- 減税や財政出動は、需要を喚起しインフレを助長する、これらの経済対策が一時的ということならば祖由来に備えて貯蓄にまわってしまうなど、やや見解の方向は異なるが否定的です。
- 概ねみなさんが言っていることは、「困っていない人にまで減税する必要はない。困っている人に集中的に支援することが適切」です。
- ではなぜ国会議員はそうしないのか? 選挙があるからです! 生活に困窮している一部の国民にだけ支援をすると、他の大多数の国民から(理屈抜きで)不平等だなどと糾弾され失職に追い込まれるからです。
- 国会議員の失職を避けるために、更に財政赤字を増やし将来にツケを回すことが許されるのでしょうか?
【記事概要】
- トランプ関税により先行きが不透明な日本経済のかじ取りをどうするか。経済学者向け調査「エコノミクスパネル」で「減税や財政出動などの経済対策は必要か」を問うと、6割が否定的な見方を示した。財政支出の増加が物価高を助長することなどが理由だ。対策を打つとしても、低所得者層などに絞った支援を求める声が多かった。
- 2025年1~3月期の実質国内総生産(GDP)は1年ぶりのマイナス成長となった。物価上昇率は日銀が目標とする2%を上回る状況が続き、物価高対策として与野党は減税や給付の必要性を訴えている。
- 経済学者の間で目立ったのは、減税や財政出動がむしろインフレを助長してしまうとの意見だ。
- 慎重な景気判断を求める声もある。中央大の塩路悦朗教授(マクロ経済学)は「米関税をめぐる状況は日々変化しており、国内のどこにどのような被害が及ぶか、まだ読めない」とした。このため現時点の最大の経済対策は「機動力を確保するために予備費を分厚く積み増しておくこと」との持論を展開した。
- 広範囲に巨額の経済対策を実施する効果を疑問視する学者も多かった。政策研究大学院大の北尾早霧教授(マクロ経済学)は「支援を必要としない高所得層を含めた全国民に減税する必要はない」と断言。慶応大の井深陽子教授(医療経済学)は「減税や給付が時限的なら、将来への備えとして貯蓄に回る可能性が高い」として、消費喚起の効果に疑念を呈した。
- 経済対策をめぐる専門家の意見と世論との乖離(かいり)は大きい。日本経済新聞社とテレビ東京が実施した世論調査(4月19~21日)では、消費税減税について「効果あり」と答えた人が59%にのぼった。
- 京都大の諸富徹教授(財政学)は「消費税減税の要求が高まる背景には、インフレによる実質所得の減少に苦しむ人々の存在がある」と分析する。「一定水準以下の所得層への直接給付など、直接届く政策を実行すべきだ」と提案した。
- 低所得者対策として「給付つき税額控除」の導入を求める意見もあがった。税金から一定額を控除する減税策で、課税額より控除額が大きいときはその分を現金で給付する。低所得者や子育て世帯への支援策としてカナダや英国で導入されており、日本では立憲民主党が導入を求めている。大阪大の恩地一樹教授(税制)は「低所得者をターゲットとした対策として望ましい」と述べた。
- 安易に税制を変更することへの警戒感も目立った。慶応大の坂井豊貴教授(メカニズムデザイン)も「税制は政争の具になりがちな一時的な減税の議論ではなく、国のあり方を見据えた骨太の議論に集中してほしい」と注文した。