有価証券報告書、総会前の開示急増 上場企業の5割超 銀行は大半
https://www.nikkei.com/paper/article/?b=20250605&ng=DGKKZO89152240V00C25A6MM8000
【コメント】
  • 金融庁の要請による有価証券報告書の株主総会前の開示が今年は極端に増加しそうな気配です。
  • 有価証券報告書は企業の広範な情報が開示されている資料ですが、それを株主総会前に株主に開示し、株主総会での議論を活性化するというのが本来の姿ですが、これまで日本企業の大部分は株主総会後に開示していました。
  • これでどこまで株主総会で本質的な議論が活性化するのか不明ですが、少なくとも企業情報の適時適切な開示が前進し、日本企業を選好する可能性がある海外投資家にも良い影響を及ぼすはずです。
  • トランプ関税やドル円の動向には目を離せませんが、今年後半からの日本企業の価値評価(株価上昇)に期待が持てるかもしれません(投資は自己責任で!)
【記事概要】
  • 株主総会前に有価証券報告書を開示する上場企業が急増している。金融庁によると、今年は3月期企業の55%が総会前の開示に踏み切る。前年はわずか2%だった。財務以外の投資情報も盛り込む有報は投資家から早期の開示を求める声が根強かった。金融庁も上場企業に働きかけたところ、総会前に開示する動きが広がった。
  • 金融庁が5月末時点の開示予定をまとめた。11日に公表する。3月末を決算期とする上場企業は約2300社あり、55%に及ぶ1241社が総会前に有報を開示する見通し。業種別では銀行業の70社のほか、輸送用機器などで総会前開示が広がる。わずか42社(2%)にとどまっていた昨年から大幅に増加する。
  • 有報は財務情報以外に、設備投資や株主に関する情報、人的資本といった非財務の投資情報も盛り込んでいる。企業との対話を進める上で、海外の機関投資家を中心に総会前の開示を求める声が強かった。加藤勝信金融相が3月、全上場企業に総会前の開示を要請し、金融庁も意向調査に着手していた。
  • 提出時期もさらに早まっている。昨年は総会前日の開示が多かったが、7日以上前に開示を前倒しする企業が増えた。41社と前年(11社)から4倍弱となった。
  • 最も早いのはレンズ製造大手のHOYAで6月26日の株主総会の3週間前の6月5日に有報を提出する。同社は13年3月期から総会前開示を続けており、昨年は1週間前だった。「グループ子会社から早期に情報を集め、スケジュールを管理することで早期の開示を可能にしている」という。
  • 総会前の有報開示は企業に後ろ向きの姿勢が強かった。金融庁の要請でようやく前倒しに動き始めたが業種などで差もあり取り組みは道半ばだ。