米、イラン核施設空爆 3カ所攻撃、地下貫通弾も  領内に初、中東で衝突拡大恐れ トランプ氏、核放棄要求
https://www.nikkei.com/paper/article/?b=20250623&ng=DGKKZO89539220T20C25A6MM8000
【コメント】
  • 昨日は、都議選とともに大きなニュースがもう一つありました。
  • 米軍が日本時間の昨日午前中にイランの核施設と思われる場所を不意打ちのような形で攻撃しました。そもそもトランプ大統領は2週間検討すると言っていましたが、その矢先の攻撃でした。
  • イスラエルがイランを目の敵にしている理由はなんでしょうか? イスラエルはユダヤ人の新興国家です。昔からこのアラビア半島でユダヤ人とアラブ人の紛争はありましたが、なぜその中でイラン人だけがイスラエルと険悪なのでしょうか?
  • アラブ人はアラビア語を母語としている人々をさしますが、イランはペルシャ文明発祥の地であり母語はペルシャ語です。 このあたりが日本人にとってややこしいのですが、いずれもイスラム教を国教にしながら、イランでは多数派のスンニ派ではなく、少数派のシーア派を国教としている点に違いがあるようです。
  • 結局のところアラブ人はユダヤ人を受け入れている感がありますが、イラン人だけはユダヤ人に今だに敵意を持っているようです。
  • また、イスラエルは米国を取り込み西側国となっていますが、これに対しイランはロシアや中国と深い関係がありますので、今回の紛争は米中ロの代理戦争になっている感が大いにあります。
  • これ以上エスカレートすると(する可能性はあります)、原油価格の高騰など日本経済にとっても大きな影響が出てくる恐れがあります。一方で現時点では「有事の円買い」にはなっておらず直近は円安基調で推移していますので、輸出企業の業績にはポジティブと思われます。(投資は自己責任で!)
【記事概要】
  • 米軍は現地時間22日未明(日本時間同日午前)、イランの核施設を攻撃した。トランプ大統領は同国中部のフォルドゥとナタンズ、イスファハンを挙げ「3つの核施設への攻撃を成功裏に完了した」と述べた。イランは「重大な国際法違反だ」と反発しており、衝突拡大の恐れが強まってきた。
  • 米国のイラン領内への攻撃は初めて。トランプ氏は声明で、フォルドゥのウラン濃縮施設に「搭載していた爆弾を全量投下した」と明かした。「すべての航空機は現在、イラン領空外に退避した。全機が安全に帰還している。世界中でこの任務を遂行できた軍隊は他に存在しない」と誇った。
  • トランプ氏は自身のSNSへの投稿で「これは米国、イスラエル、世界にとって歴史的な瞬間だ。イランはいま、この戦争を終結させることに同意しなければならない」と要求した。
  • 攻撃後、ホワイトハウスで国民向けにも演説した。ウラン濃縮施設を「完全に破壊した」と主張し、イランには「いまこそ平和を築くべきだ。そうしなければ今後の攻撃ははるかに大規模なものになるだろう」と述べ、核開発の放棄を迫った。
  • イランに対して「標的はまだ残っている」とも述べ、イランの対応次第でさらなる攻撃に及ぶ可能性に言及した。
  • 一方、米CNNテレビは関係者の話として、米国はイランへの追加攻撃は計画していないと報じた。トランプ氏は核施設への攻撃をイランが核協議に復帰するきっかけになると期待しているという。
  • ヘグセス米国防長官は22日の記者会見で「この任務はイランの体制変更を目的としたものではない」と述べた。米CBSは政府関係者の話として、米側がイランに対しても体制の転覆は企図していないことを伝達したと報じた。
  • 国際原子力機関(IAEA)は22日、フォルドゥなど核施設への攻撃について「現時点では施設外での放射線レベルの上昇は確認されていない」と明らかにした。23日に緊急会合を招集するという。
  • イスラエルのネタニヤフ首相はビデオ演説で、トランプ氏が「中東や世界を平和の未来へと導く歴史の転換点を作った」とたたえた。
  • 米軍のケイン統合参謀本部議長は22日、初期の評価として「3つの施設すべてが極めて深刻な被害と破壊を受けた」と明言した。イランが核保有につながる能力をなお持っているかどうかは「時期尚早だ」と述べるにとどめた。
  • 作戦名は「ミッドナイト・ハンマー(真夜中の鉄つい)」と名付けた。攻撃には潜水艦からの巡航ミサイルのほか、ステルス爆撃機B2から投下する地下貫通弾「バンカーバスター(総合・経済面きょうのことば)」の「GBU-57」を実戦では初めて使用した。
  • フォルドゥのウラン濃縮施設は山岳地帯の地下80~90メートルにある。イランにある他の核施設に比べ、イスラエルによる攻撃の損傷は軽微とされていた。通常の空爆で破壊するのは難しく、同国はバンカーバスターとB2を唯一運用できる米軍に協力を求めてきた。
  • 米戦略国際問題研究所(CSIS)のヘザー・ウィリアムズ氏は「米軍はGBU-57を極めて高い精度で投下でき、同じ標的に繰り返し命中させられる」と語る。
  • ただ、フォルドゥの詳細を正確に把握できておらず、完全破壊できない可能性もあるとの見方を示す。