【コメント】
- 減税か給付かで争われた参院選挙の結果は、減税に軍配が上がったように見えます。
- これを再考するコメントがあったので掲載します。
- 自民党が参院選挙で敗北した理由は、「減税か給付か」という政策論争ではなく、金権政治による古い体質が抜けていないことと記事で論評しています。個人的にその通り!と感じます。
- 他国の例などを見ると消費税減税は、必ずしも国民負担を和らげることにはなっていないようです。理由は、①消費税減税分を企業は値下げせず企業の利益にしてしまう ②現在のインフレは人件費や輸入コストが原因であり消費税ではない ③後年度に財政問題が起きる
- 真に困っているかたに給付を届けることは国民全体の総意であろうと思いますが、その方法が日本のDX化の遅れで恐ろしく手間がかかる(実質不可能)点に問題の本質があります。ですので、自民党の言うように「全員にお金を配る」ことが、困っているかたを最速に支援する方法になるのでしょう。
- マイナンバーカードが米国の様にキチンと浸透できないところに日本の弱点があると思いますが、どう考えますか?
【記事概要】
- 今回の参院選では「消費税減税」を公約に掲げた新興政党が大きく議席を伸ばし、給付を主張する自民党・公明党の与党を過半数割れに追い込んだ。選挙直前の世論調査でも一時的に消費減税すべきだと考える人が多数であった。このことから消費減税を民意と決めてよいのだろうか。
- 選挙で問われたのは、物価高対策として消費減税か給付かという選択だ。財政ポピュリズムによる減税をSNSを活用した「切り抜きポリティクス」で訴え勝利したが、消費減税の経済効果や財政へのインパクトなどの論点は捨象され議論にならなかった。自民党の敗因は、裏金問題を引きずった古い体質に対する国民の忌避感や嫌悪感にある。こう考えると、消費減税を民意と受け取ることは早計だ。
- 消費減税には多くの問題がある。リーマン危機や新型コロナウイルスへの対策で消費税率を引き下げた英国やドイツの経験では、物価下落の効果は限定的だった。わが国でも、原材料費の高騰や賃上げの原資確保などで、消費減税分の多くが事業者のマージンに消え、最終消費者の利益につながらない可能性は高い。
- 次に、現下のインフレの主因は円安と人手不足からくるコストアップで、消費減税という需要刺激策を行えばインフレは加速し逆効果になる。
- 3番目に、消費税率を一度引き下げれば恒久減税になることは目に見えている。安倍晋三元首相は法律で決められている増税期日を2度延期した。不安定な政治状況では、税率を戻す期日を法律で定めても守られる保証はない。
- 最後に、巨額の恒久財源を失うことがわが国財政に与えるリスクだ。日銀の金融正常化の中での国債の大量発行は、金利高騰のリスクを押し上げる。一方で地政学リスクの高まりによる防衛費の増額圧力や就職氷河期世代を支える年金の底上げなどで税財源の必要性は増加している。
- とるべき政策は物価高で悩む低所得者を対象にした支援策だ。岸田文雄前首相は減税と給付を組み合わせたが、所得と給付を結び付けるシステムがなく自治体に大きな負担となった。自治体は住民税の課税ベースとなる前年度所得の情報を持っている。それを国のガバメントクラウドを活用して給付に連携させるシステムづくりを始めるべきだ。給付付き税額控除の実現にもつながる。