政治とカネ「不信の底流」 自民参院選総括 首相責任触れず 「解党的出直し」は不透明
https://www.nikkei.com/paper/article/?b=20250903&ng=DGKKZO91074790S5A900C2PD0000
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【コメント】
- 昨日、自民党が参院選挙敗北の総括を行いました。
- 石破首相や自民党執行部の責任は明記されず、「政治とカネの問題」「インフレ対策による現金給付の説明不足」が自民党支持離れの原因としています。
- これに対する対応策は、「解党的出直し」「SNSの発信強化」をあげています。
- 敗北の原因は、自民党にいまだに存在する金権政治体質だと思います。これに対し「解党的出直し」を宣言していますが、では具体的に何をするのか?が表明されていません。ここが自民党が変われない原因だと感じます。
- SNSをいくら発信しても、根底にある自民党の不信感を徹底的に除去しない限り意味がないと感じます。
- 善悪は別にして、石破首相に期待されたこれまでの自民党にない大胆な政策運営が、自民党という亡霊に阻まれ思うように動けていなかったことが大きな問題です。
- 自民党が大胆に変われなければ、野党の政権運営能力が未知数であることから、日本は混迷の度を増すと思われ強い危機感を覚えます。
【記事概要】
- 自民党は2日、大敗した7月の参院選を総括する文書をまとめた。政治とカネの問題を党の「不信の底流」と断じ、自覚と反省の必要性を強調した。党内では「石破おろし」の政局が続き、総括で誓った「解党的出直し」に向けた道筋は見えない。
- 党総裁の石破茂首相は2日の両院議員総会で参院選の敗北について陳謝した。「石破であれば変えてくれるとの期待を裏切った。期待外れだったことで多くの同志を失った」と述べた。
- 自民党は7月末に選挙総括委員会を設置し、参院選の候補者や所属議員、有識者らにヒアリングした。当初、8月中のとりまとめを目標としていたものの、修正を求める声が相次ぎ、9月2日の総括委で了承した。その後の両院議員総会で報告された。
- 選挙の敗北の主因を「石破内閣の支持率低迷により自民党の基礎体力が低下した」などと分析した。「自民党支持層も固めきれなかった」とも指摘した。無党派層の支持に広がりを欠き、若年層や保守層の一部の支持が離れたと振り返った。
- 自民党離れを招いた要因に9項目を挙げた。(1)政治とカネの問題による信頼喪失(2)物価高対策が不評だった(3)SNSでの発信不足――などを列挙した。
- 政治とカネの問題を巡り「党に対する不信の底流となっていることを厳しく自覚し、猛省しなければならない」と記した。世論には派閥が政治資金パーティーの収入を政治資金収支報告書に記載しなかった問題をうやむやにしているという不満がある。
- 総括は参院選の敗北を党全体の責任として扱った。首相ら執行部を名指しして責任を追及しなかった。党内では首相を責める声が根強い。今回、責任を明確にしなかったことは、執行部が事実上、首相の続投を追認しているとの見方がある。
- 党勢の回復に向け「解党的出直し」に取り組むと誓った。岸田文雄前政権下の24年3月の党大会で決めた運動方針でも「解体的出直しの強い覚悟で不断の改革努力」との表現を用いていた。大会には不記載問題を巡り内閣支持率が低迷するなか臨んだ。
- 同大会から1年半がたたないうちに再び解党的出直しを迫られる事態に陥ったにもかかわらず、責任の所在はあいまいにした。
- 参院選の公約に盛り込んだ1人一律2万円の現金給付は決定まで方針が二転三転し、野党に追及材料を与えた。国民に説明する体制が十分に取れなかったと顧みた。
- 消費税減税を見送りながら現金を配る方針は、財政や若者の将来に責任を持つとのメッセージに疑念を生じさせたとの批判がある。自民党の総括は政策の説明が不十分だったとは記載したものの、政策的な矛盾には触れなかった。
- 24年10月の衆院選の敗北により少数与党としての政権運営を強いられ、党の独自性を示せなかったことも取り上げた。改善策としてSNS戦略に重点を置いた。SNS分析を通じて国民の関心を把握し「発信内容を柔軟に調整する仕組みを整える」と訴えた。
- 若年層への発信に向け「親しみやすくわかりやすい表現」を取り入れると記した。議員のアカウントの開設を増やし、研修を通じて発信力をあげると例示した。